要約
グラフィックデータへの深層学習の応用を経て、近年、グラフ上のノード分類においてグラフニューラルネットワーク(GNN)が主流の手法となっている。多くのGNNは、ノードに事前に設定されたラベルを割り当てるために、深層学習のエンドツーエンド方式を継承しており、ノード特徴量をモデルに入力し、事前にラベルが付与されたノードのラベルを用いて教師あり学習を行う。しかし、これらの手法はノード特徴量およびそれらの関係性を十分に活用できる一方で、ラベルを独立して扱い、ラベルの構造的情報を無視するという課題を抱えている。ラベルの構造情報を活用するため、本研究では「3ference」と呼ばれる新規手法を提案する。3ferenceは、差異を持つ参照から推論を行うというアプローチを採用し、あるノードの特徴量に加えて、関連するノードの特徴量およびラベルを連結して、そのノードのラベルを予測する。関連ノードのラベルに関する追加情報により、3ferenceはノード間におけるラベルの遷移パターンを捉えることができ、後続の分析および可視化によってその有効性が確認された。合成グラフおよび7つの実世界グラフを用いた実験の結果、従来のGNNと比較して、3ferenceはパラメータ数が少なく、事前にラベルが付与されたノード数も少なく、ラベルパターンが多様な状況下でも高い予測精度を達成できることを示した。