物理学習型AI、ナノフォトニクス設計を加速
スウェーデン・チャルマース工科大学の研究チームは、人工知能に物理学の基本原理をあらかじめ組み込む手法を開発し、ナノフォトニクス分野の光学部材設計を大幅に加速させた。 チームを率いるPhilippe Tassin教授らは、カメラレンズや量子コンピューター向け光学部材の設計に超高速シミュレーションを活用してきた。従来のニューラルネットワークは膨大な計算データから物理法則を自己学習する必要があり、データ生成に約30日を要していた。本研究では、ネットワークに対して電磁気学の法則を事前に教育することで、自己学習による効率低下を排除した。 その結果、設計データの生成所要時間は約十分一の3日に短縮された。学習済みモデルは複雑な構造の光学特性をミリ秒単位で評価可能となり、明らかな物理誤差を回避できる。Viktor Lilja博士は、予測結果の解釈が容易になり、設計開発のサイクルが劇的に短縮されると指摘する。 本研究成果は学術誌Laser and Photonics Reviewsに掲載された。物理学をAIに統合するこのアプローチは、ナノフォトニクス部材の開発効率を飛躍的に高め、次世代光学機器や量子通信技術の実用化に寄与すると期待されている。
