AIの「第二波」が生み出す新世代の消費者体験:新製品・新サービスが登場
AIの「第二波」がスタートアップの未来を再定義している。これまで3年間、AIは主に業務効率化やコスト削減のツールとして使われてきたが、今、多くの起業家と投資家が「これまでにない新製品」の創出に注力している。これを「AIの第二波」と呼び、大規模言語モデル(LLM)ならではの可能性を活かした新体験、新サービス、新アプリの登場を期待している。 InworldのCEO兼共同創業者であるKylan Gibbs氏は、「第一波は既存の業務を安くするもの。第二波は、これまで存在しなかった新しい価値を創出する」と指摘。AIが単なるコスト削減ではなく、消費者が支払う価値を生み出すことで、経済全体の「パイ」を拡大すると強調した。そのためには、リアルタイム応答(300ミリ秒以内)、数百万ユーザー同時対応、個別化された体験を実現する「消費者スケールAIスタック」が必要だと訴えている。 1月にGibbs氏が設立したシリコンバレー型アクセラレーターは、30社程度の「第二波AIスタートアップ」を支援。Khosla VenturesやLightspeed Venture Partners、OpenAI、Google、Stripeの関係者も参加。3月上旬のサンフランシスコでのデモデーが注目される。 実際の事例も登場している。AIネイティブニュースプラットフォーム「Particle」は、長時間のポッドキャストから関連するハイライトをAIで自動抽出し、ニュース記事に埋め込む「Podcast Clips」を提供。トランスクリプトと記事の関連をAIエンベッディングで結び、ユーザーが情報を探す手間を大幅に軽減している。 AIフィットネスアプリ「Luvu」は、ユーザーに合わせた「AIマシュマロ」型トレーナーを搭載。テストの後に「勉強終わり、運動しよう」といった状況に応じた通知を送り、クリック率は通常の4倍。30日間のアクティブ率も業界平均の2〜3倍に達している。リアルタイムの運動フォームチェックもAIによるコンピュータビジョンで実現。 また、AIによる社会シミュレーションゲーム「Status」は、ユーザーがハリー・ポッター、ストレンジャーシングスのキャラクターなど、あらゆる役割を演じられる世界を提供。AIが即座に反応し、感情や評価(Auraスコア)に基づいて物語が展開。300万ダウンロードを突破し、ファンタジー体験の新形態を確立。 第二波の本質は、AIが「人間の代わり」ではなく「人間の可能性を拡げる」存在になること。第一波の「効率化」から、第二波の「創造」へ。AIがもたらすのは、これまでにない体験と、人々が自発的に支払う価値の創出である。
