元メタエンジニアがAIスタートアップ設立 「コードで世界を変える」決意
Ruchir Baronia氏は、Metaでのエンジニアとしての安定したキャリアを捨て、AIスタートアップ「Frontdesk」の創業者となった。彼の原動力は、中学校時代に自宅で書いた音声アプリが、家族の事故時に緊急通報を可能にした体験にある。2016年、彼は「Rescuer」と名付けた音声アラームアプリを開発。声で特定のフレーズを発すると、位置情報や音声が指定された連絡先に自動送信され、実際の命を救う事例も生まれた。この経験で、コードが一人の部屋から世界に届く力を持つと確信した。 その後、カリフォルニア大学バークレー校で電気工学・コンピュータサイエンス(EECS)と経営学を3年で修了。Metaへの就職を経て、2023年、ChatGPTの登場をきっかけに、AIと電話回線を接続するプロトタイプを週末で開発。この実験はSNSで話題となり、多くの企業から「顧客対応の自動化」を求める声が寄せられた。 Metaでは、大規模なシステム開発に携わり、数百万の取引に影響を与えるコードを書く経験を得たが、ビジネス側の視点が薄れていくことに違和感を覚えるようになった。AIの進化が加速する中で、自分のアイデアを実現するチャンスが有限だと感じ、2025年2月にMetaを退職。ニューヨークに移住し、資金調達を経てFrontdeskを設立。同社は、AIが電話・チャットなど複数チャネルで顧客と対話し、スケジュール調整やフォローアップなどの実務を自動化するAIオペレーティングシステムを提供している。 現在、同社のメンバーの多くはマイクロソフトやアマゾン、Metaなどから転職。安定した給与や株式報酬を捨て、共に「価値あるもの」を創りたいという信念で集まっている。Baronia氏は、今も深夜に部屋を歩きながらAIの反応を確認する日々を過ごしており、その姿は中学生時代の自分と重なる。彼の信念は変わらない——「コードは、一人の部屋から、世界を変える力を持つ」。
