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サム・アルトマンの眼球認証スタートアップ、10億人目指すも規制と信頼問題で道半ば

サム・アルトマン氏が共同創業したスタートアップ、Tools for Humanity(世界ID開発企業)は、人間の存在をAIから区別するための「Orb」と呼ばれるアイリススキャナーを用いた「World ID」の普及を目指している。この金属製のバレーボール大のデバイスは、ユーザーの網膜をスキャンし、AIと人間の区別を可能にする「デジタル人間証明書」を発行。スキャン後、ユーザーは「World」アプリにアクセスし、メッセージ、デジタルウォレット、そして1コイン80セント前後の仮想通貨「Worldcoin」を獲得できる。同社はアンドリーセン・ホロウィッツ、ベイン・キャピタル、コスラ・ベンチャーズらから2.4億ドルを調達し、評価額は約25億ドルとされる。目標は10億人のユーザー獲得だが、現時点で約1750万人(目標の2%未満)にとどまっている。 世界中の20カ国以上で展開されているが、スペイン、インド、インドネシア、ドイツ、中国などではデータ保護や国家安全保障の懸念から規制や調査、運営停止が相次いでいる。特にドイツ当局は、サイバー攻撃や国家レベルの脅威に対するセキュリティ対策が不十分と判断。中国では、アイリスデータ収集が国家の安全保障に危険を及ぼす可能性があると警告された。2023年10月にはフィリピン、コロンビア、タイで運営停止やデータ削除命令が出され、コロンビアでは逮捕も発生した。 同社のビジネスモデルには疑問も指摘されている。ユーザーは無料でサービスを利用できるが、収益源は不明瞭。世界IDの利用料や、オペレーター向けのOrbレンタル・販売、ブロックチェーン取引手数料などがあるものの、これらでは十分な収益が見込めないとされる。専門家は「実用的な価値が明確でない」と指摘。特に、ユーザーが得られるのは「仮想通貨の獲得」に限られ、長期的なインセンティブは乏しいと評価される。 また、展開戦略は「承認より許し」を重視する形で、発展途上国での低所得層をターゲットに、仮想通貨の報酬でユーザーを誘導。アラスカやメキシコ、ケニアなどでは、ユーザーがスキャン後に直ちに仮想通貨を現金に換える取引が広がり、一部ではバスで集団移動するケースも報告された。同社は、スキャン後1日以上経過してから仮想通貨の支払いを開始する措置を取ったが、依然として倫理的・法的懸念は根強い。 同社は、AI時代の「人間性の証明」の重要性を強調。しかし、技術的課題、法的規制、収益モデルの不確実性、そしてユーザーの真の利点の欠如が、10億人達成という夢に大きな壁となっている。

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