NVIDIA「NOOA」公開、エージェント性能を向上
NVIDIA Labsは、AIエージェントの性能向上を支える新たなオープンソース・フレームワーク「NOOA(Object-Oriented Agents)」の研究プレビューを公開した。同フレームワークは、モデルそのものよりもハーネス(構成アーキテクチャ)の設計が推論結果やコストに支配的な影響を与えるとの方針に基づき開発された。NOOAではエージェントを単一のPythonクラスとして定義し、型付入出力、参照渡し、コードによるアクション実行、プログラム可能なループ制御、明示的なオブジェクト状態、モデル呼び出し可能なハーネスAPIの6つを中核機能として実装している。これにより、従来のプロンプトテンプレートやワークフローグラフの複雑さから解放され、従来のソフトウェア開発と同様の検証・デバッグが可能となる。 記憶システム面では、エージェント自身がモデルを介して記録の作成・照会・修正を行う長期的記憶サブシステムを採用している。フラットなログではなく型とタグを持った関連性のあるデータ構造として情報を構造化し、バックグラウンド処理で重複整理や知見の抽出を行い、SQLiteファイルに一元管理する。これにより、再学習なしでセッション横断的な知識蓄積を実現している。 実際のベンチマークでは、GPT-5.5を用いたSWE-bench Verifiedで82.2%、CyberGym L1で86.8%、ARC-AGI-3で50.2%を達成し、いずれも公開されている最先端結果を上回るパフォーマンスを示した。GPT-5.6-solではARC-AGI-3で85.1%に達している。特筆すべきは効率性で、参照渡しによりコンテキストウィンドウにテキストを直列化しない設計を採用した結果、必要なLLM呼び出し数とトークン消費量を約半分まで削減。コンテキスト圧縮も不要とし、セッション全体でキャッシュを最大限活用した。セキュリティ面では、脆弱性検証プロセスを型付メソッドによる決定論的ゲートで厳密に検証し、サンドボックス環境下での安全な実行も実証されている。 NVIDIAは同フレームワークのコード、テスト、ベンチエージェント、評価手法をすべて公開し、研究者や開発者が透明性の高いアーキテクチャを検証・拡張・改良できる基盤を提供する。NOOAは既存のハーネスを代替するものではなく、エージェント開発の設計指針を示すオープンな研究プロトタイプとして位置づけられている。コミュニティによる再現と改良が促されている。
