AIの先駆者・ヒントンが称賛する進学校モデル、AIで学びを変える教育の新形態
人工知能(AI)の先駆者として「AIの父」と称されるジェフリー・ヒントン氏が、AIを教育現場に活用した米国・アルファスクール(Alpha School)のモデルを、自身が見守る中で最も価値のあるAI活用事例だと評価した。BBCニュースナイトとのインタビューで、ヒントン氏は「AIの開発に人生を捧げてきたが、その技術が極めて危険であり、人々がそのリスクを十分に認識していないことに非常に悲しみを感じる」としながらも、教育分野におけるAIの活用には前向きな見解を示した。 アルファスクールは、幼稚園から12年生までを対象とする私立教育ネットワークで、AIを基盤とした学習モデルを採用している。生徒は1日2時間のAI支援授業で国語、数学、理科などの主要教科を修得し、残りの時間は教師と協働して生活力や実践的なスキルを育むプロジェクトやワークショップに取り組む。ヒントン氏は、このモデルが「教師の時間の使い方をはるかに効果的にしている」と指摘。従来の教室授業は「生徒がそもそも抱いていない疑問に答える『放送モード』」に過ぎないが、AIチューターは生徒が実際に「考えたこと」に即して答えを提供できるため、学習効率が飛躍的に向上すると説明した。 ただし、このモデルは高コストである。カリフォルニア、フロリダ、テキサスなど複数州に展開する同校では、年間授業料が4万~7万5千ドル(約600万~1100万円)に上る。一部の校舎では1万~1万5千ドル(約150万~220万円)の低価格モデルも存在する。教師の最低給与は10万ドル(約1500万円)と設定されており、優れた人材の確保を目的としている。 ヒントン氏は、AI技術のコストが今後低下すれば、このモデルの普及が進むと予想。一方で、AI全体のリスクについては依然として懸念を示しており、「AIがもたらす危険性を十分に認識していない現状に、深い憂いを感じている」と語った。アルファスクールは、AIの潜在的な悪用を防ぎつつ、教育の質を高める可能性を示す、現実的な実践例として注目されている。
