MIT が AI で材料の原子欠陥を解明
MIT の研究者は人工知能を用いて、材料中の原子レベルの欠陥を非侵襲的に特定・定量化する手法を確立しました。従来、製造された製品から欠陥を正確に測定することは、材料を切断して破壊する必要がある場合が多く、困難でした。この技術は、電子部品や太陽電池、電池材料などの製造において、材料の強度や電気伝導度を制御する上で極めて重要です。 研究チームは、2,000 種類の半導体材料のデータを用いて AI モデルを訓練しました。このモデルは中性子散乱法で得られる原子の振動周波数データを解析し、従来の手法では不可能だった、単一の材料内で最大 6 種類の点欠陥を同時に検出することができます。モデルは ChatGPT などで使用されるマルチヘッド・アテンション・メカニズムを活用し、欠陥の種類と濃度を 0.2 パーセントという低濃度まで高精度に予測します。論文の筆頭著者である Cheng 氏は、異なる 6 種類の欠陥が混在する複雑な信号を解読するのは極めて困難であり、この成果は画期的であると述べています。 現在の製造現場では、欠陥の存在量が推測されることが多く、各工程ごとに異なる手法を使って局所的な情報を確認するのは時間がかかる作業でした。この AI モデルは、材料を破壊せずに包括的な欠陥の「全体像」を把握することを可能にし、性能が低下する前の予期せぬ欠陥を未然に防ぐ役割を果たします。 今回の手法は強力ですが、中性子散乱実験には限られた装置と複雑な設定が必要で、企業の実用的な品質管理プロセスへの即時導入は課題です。そのため、研究チームは次段階として、より普及しているラマン分光法を用いた AI モデルの開発を計画しています。また、点欠陥だけでなく、より大きな構造上の欠陥も検出対象に広げる予定で、エネルギー省や国立科学財団の支援のもと、材料科学における欠陥解析のパラダイムシフトを推進していく考えです。
