エロン・マスク、10億ドル分のテスラ株を購入し株価が上昇
エロン・マスク氏が、テスラの経営権強化を目指し、約10億ドル相当の自社株式を購入したことで、テスラの株価が月曜日の前場取引で6%以上上昇した。この買付は、米証券取引委員会(SEC)の提出書類により明らかになった。マスク氏は9月12日、株価372~396ドルの範囲で約257万株を取得し、その資金は不可撤回信託を通じて調達された。この取引により、マスク氏の保有株式比率は約0.6%上昇し、現在の13%からさらに強化された。これは、彼が5年ぶりに市場でテスラ株を購入した初めての行動であり、2022年にツイッター買収に伴い、同社株を200億ドル以上売却した直後の出来事と対照的だ。 この動きは、テスラ取締役会が先月発表した、最大1兆ドルに達する新たなCEO報酬計画に対する直接的な反応と見られている。この報酬プランは、2024年11月の株主総会で株主投票を経て可決される予定で、マスク氏がテスラの市場価値を7.5兆ドル以上に引き上げ、100万台のロボットや100万台のロボタクシーの販売を達成した場合に支給される。その結果、彼の株主投票権は25%~29%まで上昇する可能性がある。マスク氏は過去に「25%の株式保有」を前提に、テスラの人工知能(AI)やロボティクス分野の拡大を進めるべきだと述べており、今回の報酬プランはその戦略的目標を実現するための道筋を提供している。 一方、テスラの株価は今年、EV市場の競争激化やマスク氏の政治的活動の影響により、大きく揺れ動いている。米国におけるEV市場シェアは40%を下回り、販売台数の伸びも鈍化している。マスク氏は、今後数四半期は「厳しい局面」が続く可能性を示唆しており、米国政府によるEV補助金の段階的廃止が影響していると指摘している。しかし、彼はテスラの将来をAIとロボティクスに賭け、2024年夏に発表された「新マスタープラン」では、電気自動車の販売という従来の事業を後退させ、AI搭載ロボットや自律走行車の開発を主軸に据えている。 テスラは今回の報酬プランについて、公式コメントを控えている。業界関係者からは、「マスク氏の株式保有増加は、経営の安定性を示すサイン」との見方が広がっている。一方で、1兆ドルの報酬は現実性に疑問が呈され、投資家間で議論が分かれている。テスラの将来は、マスク氏の戦略的ビジョンと、市場環境の変化の両方に大きく左右される。
