フォウンダーズファンドが人道魚殺戮ロボット企業に出資
ファウンダーズファンドが、魚の瞬時処理ロボットを開発するShinkei Systemsへの投資を表明した。創設者のサイフ・ホワジャ氏とファンドパートナーのデリアン・アスパロホフ氏は、カリフォルニア州エルセグンドのTechCrunch StrictlyVCイベントで、この異業種挑戦の技術的・経済的基盤を解説した。 Shinkei Systemsの主力製品「Poseidon」は、捕獲直後の魚をコンピュータビジョンで識別し、脳を瞬間刺抜くことで日本の伝統的いけじめ技術が産業規模で自動化されたもの。従来、船内での酸欠死は数十分から1時間を要し、魚がストレスホルモンと乳酸を分泌して肉質が劣化、賞味期限が短縮していた。同ロボットによる処理では分解を抑制し、保存期間を従来の5〜7日から12〜14日以上へ延伸する。ワシントン州タコマの大型加工施設を拠点に、船員に無償でロボットを提供し処理済み魚を市場価格より高額で買い取る垂直統合モデルを構築した。高級レストラン50店(ミシュラン星付き店舗を含む)やLA高級小売Erewhonへの供給を開始し、「Seremoni」ブランドで展開している。 米国水産業界では、国内捕獲魚の約半数が中国へ下処理委託される非効率なサプライチェーンが長年の課題だった。Shinkei Systemsは捕獲から加工・流通までの国内一貫体制を確立し、人件費問題や貿易摩擦リスクを排除する狙いだ。アスパロホフ氏は、同ファンドが汎用AIや防衛分野への投資比率を相対的に抑制し、ハードウェアや物理世界事業への出資を戦略的優先事項としていると指摘。HalterやOhalo Geneticsと同様、市場が敬遠する難易度の高い技術基盤企業への先読み投資と位置づけている。 今後の成否は、過酷な船舶環境でのハードウェア耐久性、漁業者の運用慣行変更、そして品質向上に対する小売りのプレミアム受容度に懸かる。食品は腐敗リスクが高く、ソフトウエア企業のような試行錯誤が困難な領域であるため、業界構造の変革が可能か、市場からの検証が本格化するだろう。
