スマホデータで喫煙欲求予測、依存症治療へ
マンチェスター・メトロポリタン大学とランカスター大学の研究者らが共同で行った研究により、スマートフォンの微小な動きのパターンを分析することで、喫煙への渇望や再発を約 85% の精度で予測できることが実証されました。この手法は、参加者 17 名が 2 週間にわたり日常的にスマートフォンを所持している間に収集された、人間には検出できないほどの微細な動作データに基づいています。参加者が喫煙した際に画面を押すと、アルゴリズムがその 5 分以内に喫煙する可能性や強い渇望を特定しました。このモデルは、禁煙を宣言した後の高リスクな状況でも高い精度を示し、特定の個人だけでなく、他の喫煙者のデータでも同様の微細な動きの兆候が見られることが確認されています。 この技術は、喫煙を止めるためのスマートアプリ開発に応用可能です。アプリは、予測された渇望の高まる直前に、その人の禁煙動機に合わせた「動機づけ画像」を表示し、行動を思いとどまらせることができます。例えば、心血管の健康を理由に禁煙している人にはゴールラインの写真、子供たちの成長が理由であれば家族の写真などが表示されます。これは、行動する直前に介入するタイムリーなサポートとして機能し、喫煙行動の抑制に寄与します。 本研究は、科学報告誌『Scientific Reports』に掲載され、運動に関連する行動を予測するためにスマートフォンセンサーデータが初めて用いられた例となります。ヤエル・ベン博士は、日常生活の動きにおける微細な調整をデジタル記録することは膨大な可能性を秘めており、他の健康状態への応用が期待されると述べています。具体的には、過食や不眠症などの他の依存症や摂食障害、精神疾患の早期検出や介入モデルへの発展が検討されるでしょう。以前の研究では環境要因や社会的状況に焦点が当てられていましたが、今回の手法は制御された実験室ではなく、参加者の行動に制限を加えず日常生活で収集されたデータを用いる点に大きな意義があります。これは、現実世界における行動変容と健康モニタリングにおいて貴重な洞察を提供するものであり、禁煙支援だけでなく、より広範な依存症や強迫的な健康問題への応用が期待されています。
