AIが発見:スタチンとフェノチアジンの併用で神経芽腫の進行を抑制
スウェーデン・ルンド大学の研究チームが、機械学習を活用して神経芽腫(神経芽腫)の治療に効果的な薬剤の組み合わせを発見した。この研究は、EMBO Molecular Medicineに2025年3月に掲載され、高リスク型神経芽腫——特に化学療法に耐性を示す進行型——の治療に新たな道を開く可能性を示している。神経芽腫は5歳未満の子どもに多く、スウェーデンでは年間15~20例が診断され、治療困難な形態が存在する。 研究を主導するダニエル・ベクセル教授のチームは、既存の薬剤の再利用(ドラッグリポジショニング)に注目。機械学習を用いて、遺伝子データと既存薬の作用メカニズムを統合分析。英国のAIバイオテクノロジー企業Healx、カロリンスカ研究所、および英国のaPODD財団、イタリアのENEア(欧州神経芽腫協会)と連携し、患者由来の高リスク型腫瘍に対して実験を実施。その結果、スタチン(脂質降下薬)とフェノチアジン(めまいや吐き気の治療に用いられる薬)の併用が、単独使用よりも顕著な相乗効果を示した。 スタチンはコレステロールの新生を阻害するが、フェノチアジンは別経路で同様の効果を発揮。両薬の併用により、腫瘍細胞内のコレステロールが著しく低下し、多数の細胞が死滅。生存した細胞は化学療法にも感受性を示した。ベクセル教授は「コレステロールが腫瘍の生存に重要であることは知られていたが、この程度の効果は予想外だった」と語る。 マウス実験では、腫瘍の成長が抑制され、生存率の向上が確認された。今後は、薬物の化学的性質を最適化する研究が求められるが、研究チームは「耐性腫瘍に対しても非常に有望な結果が得られた」と強調している。このアプローチは、既存薬の再利用とAIを活用した創薬の可能性を示す重要な一歩となる。
