タコベル、AIドライブスルー実験を中止へ 誤作動とユーザーのいたずらが問題に
タコベルがAIドライブスルー実験を中止し、「もう十分」と表明した。同社は昨年、アレクサのような音声アシスタントがドライブスルーの注文対応を可能にすると判断し、全国500店舗以上にAIを導入した。しかし、実際にはAIが誤解を招き、顧客を不快にし、意図的に操作されやすかった。タコベルのデジタル・テクノロジー最高責任者であるデイン・マシュー氏はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、「学びは多い。正直に言えば、まだ課題が多い」と語った。その一例として、顧客が「水を18,000杯ください」と注文するなど、AIを弄りたいという心理が顕著だった。Redditのタコベルコミュニティでは、従業員やファンがAIの不具合を嘆ぐ声が相次いだ。ある従業員は、AIが「すべてのメニュー品が売り切れ、ドリンクとソースパックだけ」と誤った情報を伝えたと報告。また、チャラウパ・スーパーに玉ねぎを追加する注文に対し、AIは3個のチャラウパを出力し、豆に変更する要求には応じなかった。 こうした課題にもかかわらず、タコベルの親会社であるユム・ブランドズは、今年NVIDIAと提携し、AI技術の進化を目指している。同社はAIによる注文処理の改善を継続する方針だ。タコベルだけではない。マクドナルドもAIを導入し、注文精度の向上を目指すが、誤注文が相次ぎ、一部のAI対応を中止したとされる。ウェンディーズはGoogleと協力し、独自の言葉(例:JBC=ジュニアベーコンチーズバーガー)を学習させるAIチャットボットを導入したが、顧客からは不正確で不快な体験だと批判の声が上がっている。ホワイト・クレースも、音声認識企業SoundHoundと連携し、100店舗以上でAIを展開しているが、効果は限定的だ。 こうした実例から浮かび上がる結論は、予想に反して「AIが人間の代替になるべきではない」というものだ。マシュー氏は、混雑時における人間の対応が依然として優れていると指摘。「人間が対応すべき状況は、AIよりも適切だ」と明言した。AIの導入は技術的進歩を示すが、顧客体験の質を損なうリスクが伴う。タコベルの実験は、AIの限界と人間の不可欠性を改めて示した。
