オーストラリア企業、AIとハイブリッドモデルでコールセンター進化
オーストラリアの企業が、AIを活用したハイブリッド型コールセンターモデルの導入を加速している。情報サービスグループ(ISG)が発表した「2025年 ISG Provider Lens® コンタクトセンター – カスタマーエクスペリエンスサービス報告書」によると、企業はセキュリティとコンプライアンスを確保しつつ、クラウド基盤で効率的かつ高品質なカスタマーサービスを実現するため、AIとハイブリッド運営モデルの統合を進めており、顧客体験(CX)の質を高めている。 同報告書は、AIの活用、法規制の強化、コスト効率の追求という三つのトレンドが一致する中で、オーストラリアのコールセンター変革が進んでいると分析。企業は単なるコスト削減ではなく、サービスの質と文化的適合性を両立するブレンド型ソーシングモデルへと移行しており、特にオンショアとニュージーランド・フィリピンなど近隣国でのニアショア運用を組み合わせることで、データ主権と英語力の確保を実現している。また、フィジー、ベトナムといった国々もコスト最適化の新たな拠点として注目されている。 AI技術の導入では、生成AI(GenAI)によるチャット要約、リアルタイムコーチング、自動知識ツールが、応答速度と顧客満足度の向上に寄与。これらのシステムは実証実験から本格運用へと移行しており、大量の問い合わせに対しても一貫したサービス品質を維持できるようになった。ただし、AIの誤情報(ハルシネーション)やモデルの説明可能性に関する懸念は依然として強く、医療や政府部門などリスクの高い分野では慎重な運用が求められている。 また、クラウドプラットフォームの近代化も進んでおり、Genesys CloudやAmazon Connect、Microsoft Dynamicsといったスケーラブルな基盤への統合が広がっている。これにより、通信チャネルの統合や分析、ワークフォース最適化が実現され、顧客ジャーニーのパーソナライズや平均対応時間の短縮、初回解決率の向上が実現されている。 報告書の筆頭著者であるISGのヘマング・パテル氏は、「最も成功している企業は、自動化を適切に導入しつつ、人間のエージェントが高度で高付加価値な対応に集中できる環境を整えている」と指摘。また、従業員の体験向上を目的としたツール投資や、顧客成果に連動する成果報酬型の契約モデルの導入も顕著な傾向だ。 ISGは、Acquire Intelligence、Concentrix、Datacom、Foundever、Probe Group、Tech Mahindra、TP、TSAを「デジタルオペレーション」と「インテリジェントオペレーション」の両分野のリーダーとして評価。Genpact、TTEC、WNSは各1分野のリーダー。GenpactとHCLTechは「リーディングスターズ」(高い成長可能性を持つ企業)に選出された。また、カスタマーエクスペリエンス分野ではKonectaが「2025年グローバルISG CXスターパフォーマー」に選ばれ、顧客満足度調査で最高評価を獲得した。
