NVIDIA TensorRT for RTXが実現するランタイム自動最適化で、AI推論のパフォーマンスとポータビリティの両立を達成
NVIDIAは、RTXシリーズ向けに「TensorRT for RTX」を発表し、AIアプリケーションの実行効率を飛躍的に向上させる「適応型推論(Adaptive Inference)」を実現した。従来、AIモデルを異なる消費機器に展開する際は、特定GPU向けに最適化すればパフォーマンスは高くなるが、互換性が損なわれ、逆に汎用エンジンを作ると性能が犠牲になるというジレンマがあった。TensorRT for RTXは、わずか200MBの軽量ライブラリとして、実行時(Runtime)に自動的に最適化を行う仕組みを採用。開発者は一度だけ軽量でポータブルなエンジンを作成し、あとはユーザーのハードウェアに応じて自動的に最適化される。 この仕組みは、3つの技術が連携して機能する。まず「動的形状専用カーネル生成」により、実行時に実際に使われる入力サイズに応じて最適化されたカーネルを自動生成・キャッシュ。次に「CUDA Graphs」で、多数の小規模GPUカーネルの起動オーバーヘッドを排除し、推論全体を1回の操作で実行。最後に「実行時キャッシュ」で、生成された最適化カーネルをセッション間で保存し、再起動時にも即座に最適性能を発揮できる。これにより、初期の推論ではやや遅いが、実行回数を重ねるごとにパフォーマンスが向上。特に、RTX 5090で実行されたFLUX.1 [dev]モデルでは、2回目以降で静的最適化を1.32倍上回る性能を達成。JITコンパイル時間も16倍短縮され、1.95秒まで短縮された。 この技術により、開発者は手動でのチューニングや複数ビルドの必要がなく、柔軟性とパフォーマンスの両立が可能に。Windows環境ではハードウェアアクセラレーテッドGPUスケジューリングと組み合わせて、特に効果的。NVIDIAはGitHubでサンプルノートブックとデモ動画を公開しており、開発者はすぐに実装を試せる。今後、AIアプリケーションの開発効率と、端末内でのプライバシー保護がさらに進むと期待されている。
