アンリティック新AI発表でソフトウェア業界に警戒感、医療分野までAIの進出が懸念へ
アントロピック(Anthropic)が相次いで発表した新AI製品が、ソフトウェア業界に警鐘を鳴らしている。同社のドリオ・アモデイCEOは先週、医療・生命科学向けのAIツール「Claude for Healthcare & Life Sciences」を発表。これはHIPAA準拠の企業向け機能を備え、研究データや臨床試験情報(PubMedやClinicalTrials.gov)と連携可能。さらに翌日には、文書作成やファイル管理を自動化するAIエージェント「Claude Cowork」を発表。そして、実験的AIプロダクトを試作・公開する内部イノベーションチーム「Labs」の拡充も発表した。 この一連の発表を受け、Salesforce、Workday、Intuit、Snowflakeなどの主要SaaS企業の株価が6~13%下落。RBCキャピタルマーケッツの分析レポートは、投資家が「AIの進化がソフトウェア企業の価格設定力(パーソナライズド価格)を脅かす」と再評価し始めたと指摘した。特に注目されたのは、AIが従来「AI耐性」とされていた垂直領域(医療、金融など)にまで進出している点だ。 これまでSaaS企業は、業務プロセスの専門性や規制知識、ワークフローの深さを武器に、サブスクリプション価格を維持してきた。しかし、AIはこれらの機能を一元的なインターフェースで即時提供可能にし、価値の差別化が難しくなっている。RBCは「垂直ソフトウェアは『AI耐性』とされてきたが、Claude for Healthcareの発表により、その前提が揺らいでいる」と分析。専門性と規制の複雑さを背景にした領域でも、AIが既存ベンダーの独占構造を脅かす可能性が高まっている。 同レポートは、アントロピック、OpenAI、グーグルが加速する製品発表の流れが、2026年以降もソフトウェア業界全体に「AI過剰懸念(AI overhang)」をもたらすと警告。AIの進化が、単なる支援ツールではなく、既存ビジネスモデルの代替へと進化している現実が、投資家の判断を大きく揺るがしている。
