AI搭載スマートウォッチで構造的心臓病をスクリーニング、大規模な実証研究で有効性を確認
人工知能(AI)を活用した新技術が、スマートウォッチの単一リード心電図(ECG)センサーで構造的心臓病を検出する可能性を示した。米国心臓協会の科学会議2025で発表される予定の前向き研究によると、AIアルゴリズムがスマートウォッチの背面やデジタルクラウンに搭載された単一リードECGで、心筋の弱体化、弁の損傷、心筋の肥厚といった構造的心臓病を正確に検出できた。これは、スマートウォッチの日常的な使用で構造的心臓病を早期に発見できる初めての前向き研究とされる。 研究を主導したイェール大学病院のアリヤ・アミノロア氏(内科学レジデント)とイェール大学医学部の心血管データ科学(CarDS)ラボの研究チームは、2015年から2023年までの11万件以上の成人を対象に、26万6,000件以上の12リードECGデータを用いてAIモデルを学習。その中から、スマートウォッチで得られる単一リードECGに相当する信号を抽出し、実際のスマートウォッチで生じるノイズ(雑音)を模倣して訓練データに加えることで、現実の不完全な信号でも信頼性の高い検出が可能になるようにした。 このAIモデルは、4万4,591人の地域病院受診者とブラジルの人口ベース研究(ELSA-Brasil)の3,014名のデータで検証され、その後、600人の参加者を対象に実世界での前向き試験を実施。参加者の半数が60代で、性別や人種の多様性を反映。心臓超音波検査で5%の参加者に構造的心臓病が確認された。AIはその中で良好な感度と特異度を示し、単一リードECGの限界をAIで補完できることを実証した。 研究の責任者ロハン・ケラ氏(CarDSラボ長)は、「単独のECGは12リードECGの代替にはならないが、AIを活用すれば、日常的に使っているデバイスで重要な心疾患のスクリーニングが可能になる」と指摘。今後は、地域医療や予防医療への導入を検討し、広範なスクリーニングプログラムとしての可能性を追求する。研究の限界は、病変を有する参加者数が少なく、偽陽性の可能性がある点。今後、より大規模な検証が求められる。
