Transformer共同著者、Googleを離れOpenAIへ
AI界の重鎮、Transformerアーキテクチャの共同筆者であるNoam Shazeer氏が、6月18日付けでGoogle DeepMindを退社しOpenAIへ移籍することが発表された。同氏はGeminiモデルの技術的責任者を務め、Googleでの長期的な基盤研究を担ってきたが、新たな技術的挑戦を求める方針転換を決断したと説明している。 Shazeer氏は2017年に現代生成AIの基盤となるTransformer構造を提案し、MoEアーキテクチャの先駆者としても知られる。その研究は業界標準の基盤となっており、2020年にはCharacter.AIを創業したが、2024年に約27億ドル規模の技術提携によりDeepMindへ復帰しGeminiプロジェクトの最前線を指揮していた。今回の異動は、Googleが巨額投資で迎えたトップ研究者が短期間で競合他社へ流動する異例の事例となっている。 この人事はAI業界における頂点人材をめぐる競争の激化を示している。Transformer論文の主要執筆者はすでに分散し、革新を担う研究者の確保が企業戦略の最重要課題になっている。業界関係者によれば、トップエンジニアの獲得競争は従来の報酬体系を超え、巨額の契約や技術ライセンス料を伴う資本移動の構造へ発展している。 OpenAIにとって同氏の参画は、モデル訓練効率や大規模システム設計における即戦力となる技術的補強である。一方GoogleはTPUインフラやクラウド展開力、基礎研究の蓄積において優位性を維持するものの、高額な投資対効果と人材維持の課題に直面した。AI技術覇権をめぐる競争は、特定の企業に留まらず知財と人材の生態系的流動によって牽引されており、両社の開発競争は新たな局面へ移行するものと見られる。
