KPMGのFDEがAIで顧客業務を効率化
KPMGのフォワードデプロイエンジニア(FDE)、ジャスティン・ジョンセン氏は、AIを活用したクライアント対応の最新手法を明かしている。同氏は同社に6年間在籍し、1年間FDEとして複数クライアントと直接協業している。従来のコード書き中心の業務から、ビジネスニーズの解明から実装まで一貫してクライアントチームと連携するFDEの役割は、AI時代においてさらに重要性を増している。 ジョンセン氏によると、AIの活用成功の鍵は文脈の収集と整備にある。大量のデータを統合し、AIが合理的に推論できる状態に整える作業が現在のボトルネックとなっている。具体例として、顧客やパートナーの取引リスクをAIで評価するリスクスコアリングシステムの構築を挙げる。複数のデータソースから信号を集約しAIに判断をさせ、専門家の審査プロセスに統合した。従来は数か月かかっていた要件定義と統合プロセスが、適切な文脈整備を経てAIを活用することで約1ヶ月で完了し、クライアントの迅速なAI普及への期待を高めた。 FDEの現場介入には明確なメリットがある。対面での業務は自然な対話と非言語コミュニケーションを可能にし、知識の移転をリアルタイムで実現する。従来のSIerが要件定義・構築・納品のライン方式をとるのに対し、FDEは開発と同時にトレーニングとコーチングを行い、運用に必要なベストプラクティスやドキュメントを同時に提供することで、システム導入後のギャップを解消する。 業界全体としても、ソフトウェア開発の重心はコーディングからデータ・インテグレーション層へシフトしている。レガシーシステムとクラウドアプリの連携、可視化のためのデータ統合、AIによる推論支援が主要な課題となっている。ジョンセン氏はAIが反復作業を軽減することで、人間の判断力が求められる問題定義や意思決定に時間を割けるようになると指摘。AI時代の技術コンサルティングは、単なる実装ではなく、文脈構築と組織的能力強化に重点を置くモデルへ進化しつつある。
