Crusoe、Wyoming州データセンター計画をGoogleに売却
米コロラド州デンバーを拠点とするデータセンター開発会社クルーソーは、ワイオミング州南東部で建設中だった大型データセンタープロジェクトをグーグルに売却したことを確認した。米評価額が309億ドルに達したとされる同社は、プロジェクトの未完了状態のままグーグルに事業を引き渡す形となった。グーグルは以前からクルーソーを顧客として獲得する交渉が行われていたが、結局は自ら開発を引き受けることになる。関係者によると、グーグルはクルーソーの管理下ではコストや建設スケジュールに懸念を抱いていたとされる。 このワイオミングの案件は、ブラックストーン系のインフラ企業タングラスとともに昨年発表された。将来的には電力容量10ギガワット規模に拡張する計画だったとされる。グーグルは売却額を明らかにしていない一方、同地のデータセンターキャンパス開発に170億ドルを投資する方針を示した。 今回の取引は、独立系のデータセンター開発事業者が超大型プロジェクトを期日通りに、かつ予算内で完成させる難しさを浮き彫りにしている。GPUや関連機器の調達、電力確保のほか、地域住民からの反対など、AI需要拡大に伴う大規模開発では複雑な課題が増えている。 もっとも、グーグルはクルーソーとの関係を完全に解消したわけではない。両社はテキサス州アマリロ付近で別のデータセンター開発を継続している。今回のワイオミングの売り出し計画は6月に報道されたが、その後の資金調達に影響は生じなかった。クルーソーは9月に39億ドルの資金調達を実施し、JBストローベル氏を筆頭とする新取締役を迎えた。同氏はレッドウッドマテリアルズ創業者でテスラの取締役でもあり、以前からクルーソーに投資してきた。 クルーソーは2016年設立で、当初は天然ガス由来の余剰エネルギーを活用する暗号資産採掘事業として始まった。創業者は現CEOのチェイス・ロックミラー氏とカリー・キャブネス氏である。現在では、顧客がGPUを持ち込む方式のデータセンター賃貸、自社GPUの貸し出し、AI推論向けの計算力提供などを主な収益源にしている。 事業規模は急拡大している。テキサス州アビリーンではオラクルとOpenAI向けのキャンパスを段階的に開発中であり、隣接地ではマイクロソフト向けの900メガワット規模の別キャンパスも建設している。同地では最初の棟が2027年前半に稼働見込みとされる。メタも顧客であり、大手トレーディング企業ジェーンストリートが5年間総額130億ドル規模のクラウド契約を結んだとの報道もある。 今回の売却は、クルーソーにとって大型プロジェクトの遂行能力に課題が残った事例だが、同時に同社の資金力や顧客基盤の厚みも示している。グーグル側にとっても、必要とする算力の確保を外部開発会社に依存せず、自社主導で進める判断に転じた点に意味がある。
