UCSCがNVIDIAGPUで加速する海岸洪水マッピングで気候リスク可視化
カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UC Santa Cruz)の研究チームが、NVIDIAのGPUを活用した高速計算技術で沿岸域の洪水リスクを高精度にマッピングしている。同校の海岸気候レジリエンスセンターのマイケル・ベック教授らは、気候変動による海面上昇に伴い、米国の沿岸地域の30年間での洪水リスクが26%に上ると指摘。このリスクを軽減するため、サンゴ礁やマングローブといった自然の防御機能をモデル化し、可視化することで、行政機関や金融機関、NGOに向けた適応策の根拠を提供している。 研究チームは、SFINCSなどのシミュレーションツールを用いて、例えば「サンタクルーズで百年に一度の暴風雨が発生した場合」の洪水状況をリアルタイムに再現。その結果をNVIDIA RTX 6000 Ada Generation GPUとCUDA-Xソフトウェア(cuPyNumericやnvfortran)で加速し、Unreal Engine 5で高解像度のインタラクティブなビジュアルに変換。従来のCPUベースの処理に比べて、計算時間は6時間から40分に短縮され、4GPUクラスタでは同時に4つのシミュレーションを実行可能に。これにより、パラメータの感度分析や仮定の検証が容易になり、より正確なリスク評価が実現した。 その成果は、トンガやトリニダード・トバゴといった小島嶋開発国を対象に、COP30に向けて世界中の沿岸地域を網羅的にマッピングするプロジェクトにも応用されている。また、ベック教授らはメソアメリカン・バリアーリーフ(メキシコ)のサンゴ礁を保全するためのパラメトリック保険制度の導入を実現。風速100ノットを超えると自動的に補償金が支払われる仕組みにより、災害後のサンゴの復旧資金を確保。ホテル経営者や国際機関、世界銀行が保険に参加し、自然の防波堤としての価値を実証した。 同チームは、今後はカリフォルニア沿岸の洪水リスクを評価する「CoSMoS ADAPT」プロジェクトを推進。USGSのCoSMoSモデルに、砂丘、防波堤、サンゴ礁などの自然・人工対策を統合し、将来のリスクと対策の費用対効果を定量的に分析する。NVIDIAのアカデミック・グラント・プログラムを通じて、GPUを活用した研究を支援。2024年12月31日まで、生成AI、ロボティクス、エッジAI分野の研究者を対象に応募を受付中。
