マスクとアスケルの対立:AIの倫理設計と子育て論がSNSで炎上
エロン・マスク氏とアントロピック(Anthropic)の哲学者アマンダ・アスケル氏が、X(旧Twitter)上で短い論争を展開した。アントロピックは、チャットボット「クレード」に人格や倫理的な制約を組み込むために、スコットランド出身の哲学者アスケル氏を採用している。彼女の役割は、AIに「冷静さ」と「善」を教えることだ。 これに対し、マスク氏は、アスケル氏が子を持たないことを理由に、彼女の「未来への関与」を疑問視した。マスク氏は、『ウォールストリート・ジャーナル』が掲載したアスケル氏の特集記事を受けて、「子を持たない者は未来に利害を持たない」と投稿。マスク氏自身は、自身のAIチャットボット「グロク」に明確な個性を付与しており、14人の子供を持つことでも知られている。彼はシリコンバレーのエリート層に広がる「出生促進主義(プロナタリズム)」を支持している。 これに対し、アスケル氏は自身の冷静で知的なスタイルで反論。「自分が他人にどう関心を持つか、家族の血縁関係に依存するかは問題だ」と述べ、子供を持つかどうかではなく、「人々の繁栄にどれだけ関心があるか」が本質だと強調した。彼女は「子供を持つことで未来への関心が深まるのは理解できるが、それ以外の形でも未来への責任感は持てる」と述べ、自身も将来子供を持つ意向があるとしながらも、血縁関係にとらわれず、人類全体の未来に責任を感じていると説明した。 このやり取りに続き、アスケル氏は1日後に追加投稿。「左翼には左過ぎ、右翼には右過ぎる。テック界には人文科学に熱心すぎ、人文界にはテクノロジーに熱心すぎ。極端にしないことが、実は最も極端に見える」と述べ、多様な立場に属する人々との間で「中庸」を貫くことの難しさを指摘した。 この短いやり取りは、AIの倫理設計における価値観の多様性と、個人の人生観が技術開発にどう影響するかを浮き彫りにしている。アスケル氏の立場は、AIの道徳的設計において「感情的関係」だけでなく「普遍的な人間への関心」が不可欠であることを示唆している。
