AIの電力需要がもたらすエネルギー危機:過剰投資とグリッドの脆弱性が懸念
AIのエネルギー消費が過剰に警戒されている一方で、実際の影響は一部過剰に描かれている可能性がある。しかし、それでもAIに伴う電力需要の急増は、米国の電力網に深刻な影響を及ぼす恐れがある。テック企業は、AIモデルの学習や運用に膨大な電力を消費しており、競争を勝ち抜くためにさらに多くの電力を求める動きが広がっている。これにより、電力会社はガス火力発電所やパイプラインの拡張を急いでいる。しかし、このインフラ投資の大部分は、AIブームに伴う過剰な期待に基づいている可能性がある。投資家が「遅れをとらない」ための資金を投じる中、実際のAI技術が成功するとは限らず、結果としてデータセンターの電力需要が過大に見積もられるリスクがある。 米国では、AIブーム以前は10年以上にわたり電力需要が横ばいだったが、AI専用の高密度データセンターの登場で状況が一変した。従来のデータセンターのラックは6~8キロワット(約3戸分)の電力を消費するが、AI用の高性能チップを搭載したラックは80~100キロワット(100戸以上分)に達する。これは「小さな町の電力消費規模」とも形容される。電力網は供給と需要のバランスが極めて敏感なシステムであり、需要が急増すれば料金上昇や停電のリスクが高まる。一方、過剰なインフラ整備は、使われないまま放置される「未利用資産」を生み出し、消費者負担を増やす。 報告書を発表したアス・ユー・ソウとシエラクラブのケリー・プール氏は、「AIブームには長期的なエネルギー影響を踏まえた慎重な対応が必要」と警告。現在、ガス発電所の新設計画が2023年から2025年までに30%近く増加しており、これはAI需要の膨張に起因する。しかし、多くの計画は資金や顧客の確保なしに提出されており、実現可能性は不明。電力会社の幹部も、申請された需要は実際の需要の3~5倍に上る可能性があると指摘している。 解決策として、電力会社は開発者に複数の電力会社への提案状況の開示や、長期契約の締結、キャンセル料の導入などを求めるべきだ。テック企業も、エネルギー効率の向上と再生可能エネルギーへの投資を強化すべき。グーグル、メタ、アマゾンなどは長年、太陽光や風力発電の購入を推進しており、今こそその取り組みをAI開発と並行して拡大するべき時だ。AIの発展と持続可能なエネルギーの両立が、気候変動対策の鍵となる。
