Replit CEOが提唱する「機能的AGI」の経済的革新力
ReplitのCEOであるアムジャド・マサド氏は、経済や社会を変革するには「真のAGI(汎用人工知能)」ではなく、「機能的AGI」で十分だと主張した。彼は10月に公開されたa16zのポッドキャストで、シリコンバレーが「神レベルの超知能」の構築に夢中になっているが、現実には既に実用的なAIが存在し、経済の大部分を自動化できると指摘した。 マサド氏が定義する「機能的AGI」とは、人間のような意識や推論能力を持つ必要はなく、現実のデータから学習し、検証可能なタスクを自ら完遂できるシステムのことを指す。彼は「あらゆる経済分野に応用可能で、労働の大部分を自動化できる段階に既に到達している」と語り、今後もその進展が続くと見ている。 一方で、マサド氏は「真のAGI」の実現には疑問を呈している。人間の知能のようにあらゆる分野で学び、適応できるAIが実現するのかは不透明だとして、「現状のAIは既に十分に価値があり、経済的にも有用なため、真のAGIの突破は長期的課題かもしれない」と述べた。 また、業界全体が「局所最適解の罠」に陥っていると指摘。大規模モデルの微小な改善に注力し、根本的な革新を放棄している可能性があると警鐘を鳴らした。 この見解は、近年のAI業界の潮流と一致している。OpenAIやGoogle、Meta、Microsoftといった主要企業もAGIを最終目標としているが、実際には大規模言語モデル(LLM)が真の一般知能に到達できるかどうかに疑問を呈する専門家が増えてきた。AI研究者のゲイリー・マーカス氏は、「単なるスケーリングではAGIには到達できない」と明言。OpenAIのサム・アルトマンCEOもGPT-5の発表前、AGIの定義に「欠けている重要な要素」があると認めている。 Metaのイアン・レクン氏も、AGIは「数十年」先の話だとし、データと計算リソースの増加だけでは知能の質は向上しないと指摘。 マサド氏の発言は、AGIへの過度な期待を冷静に見直す必要があることを示唆している。現実の経済変革は、真の知能ではなく、実用的で効果的なAIの進化によって既に始まっている。
