Recall.ai、会話データ向けAIスタック強化へ3800万ドルのシリーズBラウンドを完了
Recall.aiは、会議記録のためのAPIを開発する米国企業として、2024年4月に3800万ドルのシリーズB資金調達を完了し、2億5000万ドルの企業価値を達成した。本資金調達はBessemer Venture Partnersがリードし、HubSpot VenturesとSalesforce Venturesも参加した。この資金は、同社が会議記録にとどまらず、より広範な会話データの収集と活用を可能にする戦略的拡大に向けた重要な転換点となる。 Recall.aiは、従来、ZoomやGoogle Meetといったオンライン会議ツールとの統合を通じて、会議の音声やテキストを自動で記録・解析するAPIを提供していた。しかし、今回の資金調達を受けて、同社はその範囲を大きく拡大。新たにリリースされた「Desktop Recording SDK」により、PC上のあらゆる音声入力をリアルタイムで収集可能にした。これにより、会議以外の対話、例えばオンラインデモ、カスタマーサポート通話、社内ミーティング、さらには対面での会話まで、デジタル化されたデータとして収集できるようになった。 さらに、同社は「ダイヤル・イン」機能や電話通話の記録、および物理的な対面会話のデータ収集も計画しており、あらゆるコミュニケーションチャネルを統合的に管理できるインフラの構築を目指している。この動きは、企業が顧客との対話全体を可視化し、AIを活用して洞察を得る「コンバージョンデータの民主化」を推進するものである。 背景として、近年、B2B企業においては顧客との対話が営業成果の鍵とされ、その記録と分析が重要視されている。しかし、従来のツールでは会議だけに焦点が当たっており、電話や対面の会話はデータとして取り込まれにくかった。Recall.aiの新技術により、これまで「見える化」が難しかった会話の多くが、構造化されたデータとして蓄積・活用可能になる。 業界専門家は、この展開を「企業の会話インフラの再定義」と評価している。Salesforce Venturesの関係者は、「顧客との対話のすべてを記録・分析できるようになることで、営業チームのパフォーマンス向上や、マーケティング戦略の最適化が加速する」と述べている。また、HubSpot Venturesの視点からは、「CRMと会話データの連携が、よりリアルタイムで精度の高い顧客理解を可能にする」と強調している。 Recall.aiは、今後、AIを活用した会話の要約、感情分析、アクションアイテムの自動抽出といった機能も開発予定。企業が「すべての会話」をデータとして活用できる環境を整えることで、営業、カスタマーサポート、マーケティングの現場に革命をもたらす可能性を秘めている。この動きは、AI時代の企業情報基盤の進化を象徴する重要な一歩と位置づけられる。
