AIモデルが12生物種の細胞データを横断的にマッピング
スタンドフォード大学医学部の研究チームは、12種にわたる生物の細胞ゲノム発現データを基に学習した次世代人工知能モデル「TranscriptFormer」を開発した。Stephen Quake教授とJure Leskovec教授が主導し、チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブやBioHubが共同参加した本プロジェクトは、前期モデル「Universal Cell Embedding」を基盤として構築され、酵母からヒトまで計1億1,200万個の細胞データを学習済である。 学習手法は大規模言語モデルのアナロジーを採用。遺伝子発現値の欠損予測過程でパラメータを最適化し、多様な生物の細胞を統一的な数学的空間「ユニバーサルスペース」にマッピングする。これにより、異種間での細胞類似度や進化上の関連性を定量的に評価可能となった。 同モデルの実証では、15億3,000万年にわたる進化過程を横断する細胞生物学の解明に貢献している。例えば、ホシテンスイムのコノサイトが他の動物の神経細胞と遺伝子発現面で近縁であること、神経細胞様特徴を持つ細胞が実際には消化器系の発現パターンを示すことがアルゴリズムにより明らかにされた。また、学習データにない新規種の細胞タイプ識別や、正常細胞と疾患細胞の識別にも高い精度を発揮する。 本研究成果は学術誌「Nature」および「Science」で発表された。Quake教授は、同モデルが細胞生物学の新しい研究パラダイムを切り開き、疾患メカニズムの解明や細胞治療の設計指針を提供する強力な発見支援ツールとなると期待を示している。