Agentic RAGで自律検索を実装
従来のRAGは文脈の断絶や検索精度の限界により実務適用に課題を抱えていた。これに対応するため、検索と証拠検証を反復するAgentic RAGが注目されている。同手法ではモデルが自律的に検索を実行し、情報充足度を判断して必要に応じて再探索するループを構築する。OpenAI Agents SDKを用いた実証ケースでは、企業ポリシー調査エージェントがドキュメント一覧取得、キーワード検索、特定ファイル読取のツール群を統合し、大規模言語モデルの推論で質問に回答した。会議宿泊施設の予約承認要件を問うテストでは、関連する4つの別文書を横断的に参照・統合し、正確な結論を導き出した。エージェントの動作トレースからは、検索語の抽出から詳細読取に至る自律的な思考プロセスが確認された。 実務展開に際しては設計判断が重要な課題となる。エージェントの権限範囲は監査性を確保するため初期はカスタムツールに限定し、高度な処理が必要な場合のみシステムアクセスを付与する方針が推奨される。検索基盤は生テキストのみならず、メタデータやグラフ構造などの誘導層を構築することでナビゲーションを最適化できる。また埋め込み検索は不要となるわけではなく、エージェントの検索行動を駆動する手段として依然として有効である。アーキテクチャ面では単一エージェントから開始し、複雑化に伴って分業型マルチエージェントへ移行する判断が求められるが、調整コスト増による性能劣化リスクにも留意が必要である。レイテンシー増大と予測不可能性という代償を鑑み、反復検索が真に必要とされる課題に対してのみ段階的に導入するアプローチが実用的である。
