AIと人間が創り出す協働の未来:明確なガイドラインが鍵に
人工知能(AI)はクリエイティブなパートナーとして有効なのか。この問いに、ケンブリッジ大学をはじめとする研究チームが答えを提示した。彼らの研究によると、AIを単に導入するだけでは創造性は向上しないが、明確なガイドラインのもとで人間とAIが協働すれば、実際にはより良いアイデアを生み出す可能性がある。この成果は、情報システム研究誌(Information Systems Research)に2025年発表された。 研究を主導したケンブリッジ大学Judgeビジネススクールのキム・ユンジョン博士は、「AIを追加しても自動的に良いアイデアが生まれるわけではない」と指摘。人間とAIが創造力を高めるには、組織が「アイデアをどう発展させるか」「どうフィードバックを交わすか」などの具体的な支援を提供する必要があると強調した。 研究チームは、従来の「増強学習」の概念を進化させ、「人間とAIが共同で学び、創造するプロセス」として再定義。生成型AI(GenAI)の登場により、学びは個人の理解向上から、人間とAIが互いに影響し合いながらアイデアを磨き合う「共同プロセス」へと変化していると説明する。Netflixの脚本開発を例に挙げ、アイデアの発想から評価、市場分析まで段階的に分担し、AIがキャラクターの展開や視聴傾向を分析することで、物語の質を高めていると指摘した。 3つの連続実験を通じて、研究チームは人間とAIの協働が自然に創造性を高めるわけではないことを明らかにした。特に、アイデアの共同改善(フィードバックと修正)に焦点を当てた場合にのみ、創造性が向上した。一方、単に新しいアイデアを生成し続けるだけでは、結果は劣化する傾向にあった。 研究の結論として、AIツールは「アイデアを量産する」だけでなく、「どう改善するか」を促す設計が求められる。企業には、明確なワークフロー、フィードバックのテンプレート、AIとの協働マニュアルの提供が不可欠。また、AIを「単なる自動化ツール」ではなく「創造のパートナー」として位置づける意識改革も必要だと訴えている。 AIの導入が急増した2022年以降、多くの企業がGenAIを採用したが、その効果は「使い方次第」。創造性を引き出すには、意図的な協働の仕組みづくりが鍵となる。
