AIが手術技法を解析し前立腺がん治療を向上
セダーズ・サイナイ医学センターの研究チームは、前立腺がん手術における外科医の動作をAIで解析し、患者の回復予測と術式最適化を支援する新システム「Frame-to-Outcome(F2O)」を開発した。この研究成果は国際学術誌「npj Digital Medicine」に発表された。 F2Oは、神経温存を目的としたロボット支援前立腺切除術の手術動画を自動解析する。器具の扱いかたや神経を退避させる際の速度など、外科医の一連の動作パターンを抽出し、術後の性功能回復可能性を高精度で予測する。従来は熟練者による手動評価に多大な工数を要していたが、本システムは解析を自動化するとともに、人間の専門家を凌駕する速度で同等の予測精度を実現した。開発過程では国内外の4拠点で23名の外科医が行った294件の手術動画を学習データとして使用し、別途29症例で検証を実施。人間のエキスパートによる判断と高い一致を確認している。 尿路科のAndrew Hung教授は「予測以上の目的は、最良の結果を生む術式を特定し、外科医が技法を研鑽できるようにすることだ」と指摘する。計算生物医学部門のJason Moore博士は、臨床現場の知見と人工知能技術の融合が、技術的に厳密かつ臨床的に意味のある成果を生み出したと評価している。 今後は手術トレーニング支援やリアルタイムフィードバックシステムへの展開が想定される。本開発は医療AIが外科の実践を可視化し、患者の生活の質向上に直結する標準的な臨床支援ツールへと進化する兆候を示すものであり、医療技術革新における産学連携の成功事例として注目されている。
