AI時代のウォール街へ――ウォートンなどトップビジネススクールがカリキュラム刷新
ウォール街の未来を左右するAIの台頭に伴い、ハーバードやスタンフォードに次ぐ名門ビジネススクールであるペンシルベニア大学・ウォートンスクールをはじめ、全米の主要大学がカリキュラムの刷新を急いでいる。かつて「AIを使えばばれてしまう」という脅しの時代から、「使わなければ時代遅れ」という逆転の状況が生まれている。AIはもはや単なる補助技術ではなく、若手銀行員の役割そのものを変革しつつある。従来の定型的な作業、たとえば財務モデルの作成やスライドの繰り返し調整が、アルゴリズムによって自動化されつつあるため、人間の価値は「機械の出力にどう対処するか」に移行している。 ウォートンスクールは、AIを学問の中心に据えた新たな学部課程とMBA用の専門トラックを導入。その中には「AIと社会」「ビジネスにおける機械学習の応用」「AIの責任と倫理」など、技術と人間の関係を多角的に学ぶ授業が含まれる。教員はAIの活用に加え、AIの出力の妥当性を検証する批判的思考力や、意思決定の根拠を説明する力の育成に注力。AIの「出力」に盲従せず、その前提やロジックを問う姿勢が、今後のリーダーに求められる能力とされている。 同様の動きは全米に広がっている。バーナード大学は「コネクテッドコンピューティング学部」の設立を発表。インディアナ大学ケリー・スクールは、Pythonを活用した金融分析やAIとビジネスの統合授業を拡充。また、金融人材育成機関「Training The Street」は、AIツールの活用法を無料で提供するオンラインリソースを展開。こうした教育の変化は、企業の採用基準と一致している。ゴールドマン・サックスのジャクイーヌ・アーサー氏は、「AIは分析の大部分を担うが、人間の判断と検証が不可欠。人間の思考力、臨機応変な対応力、戦略的洞察が、AIに代えられない価値だ」と強調。AIの「出力」が正しいかを検証し、戦略に結びつける力——それが、次世代のウォール街人材の真の資質である。
