Google Antigravityがエージェント型化学情報学を実装
米グーグルは、科学作業向けのエージェント基盤「アンティグラビティー」に化学情報学スキル集を提供開始した。研究者が論文、特許、試薬カタログなどに散在する分子情報を整理する負担を減らし、仮説立案に集中できるようにする狙い。分子は名称、図像、構造化データなど複数の姿で現れ、一部でも誤ると別の化合物になるため、統一と検証が不可欠だ。 新機能では、言語モデルが作業の流れ設計、データベース探索、科学的推論を担い、確実な分子計算にはアールディーキット、整理済み資源のチェームブルとパブケムといった既存ツールを接続する。モデルと計算ツールの役割を分けることで、創造的な探索と厳密な再現性を両立させる。 技術説明では、医薬品の効力を高める古典的な手法として分子の剛直化を取り上げた。回旋可能な結合が多い分子は溶液の中で形がぶれやすく、標的に結合する際にエントロピーの損失で効力を落とす。結合を一つ追加して環状構造にすると、狙った立体形状に固定しやすく、効力向上が見込める。例として既存の肺がん治療薬から環状化した候補への置き換えを想定し、数分で多数の化合物を取得し、不要な緩衝液や溶媒を除いたうえで出典付き報告を生成する。報告では、環状化合物の多くが脳移行性を示唆する点も指摘する。対象のがんは脳転移が多いため、重要な性質となる。 利用は、アプリに科学プラグインをインストールして開始できる。企業利用ではグーグルクラウドの認証で使える。さらにグーグルは、段階的に受け付けるうえで、条件を満たす研究者一万件に最上位利用プランを六か月間無償で提供する。選考、容量、適格性が必要となる。
