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MITがAIで700億分子から9種の抗生物質候補発見

マサチューセッツ工科大学のレジーナ・バルジレイ教授とジェームズ・コリンズ教授が、シカゴ大学が二〇二四年に設立した人工知能科学研究卓越賞の二〇二六年度受賞者に選ばれた。同賞は自然科学と工学の進展に貢献した人工知能研究を顕彰するもので、今回は初めて共同研究チームに贈られる。両教授は、抗菌薬が効かなくなる医療現場の課題に人工知能で挑み、計画全体で七百億個超の分子を仮想検索し、三万八千個超の抗菌実験、十万個超のヒト細胞関連検証を経て九種類の候補物を見いだした。 背景には、世界保健機関の二〇二五年報告で臨床開発段階の抗菌薬関連が九十件に減り、新規性あるものは十五件にとどまる深刻さがある。短期投与による収益性の低さや、耐性化を遅らせる使用制限が参入を鈍らせる一方、既存化合物を一つずつ検証する伝統的手法は遅い。そこでチームは深層学習で分子構造と抗菌効果の関係を学習し、二〇二〇年に構造の異なる候補、二〇二三年に特定菌を狙う候補を発見した。二〇二四年には解釈可能なモデルで耐性菌に効く分子の構造特徴を探り、判断根拠の透明性を高めた。 さらに二〇二五年には、生成型人工知能で新規分子の設計に踏み込んだ。化学断片を土台にする方法では約四千五百万個から候補構造を抽出し、合成後の二候補に活性を示し、一つは動物感染モデルで効果と外膜形成因子への作用を確認した。自由生成では約二千九百万個から二十四個を合成し、六個が耐性ブドウ球菌に活性を示した。加えて、図形ニューラルネットワークによる別検証では、約六百万個から二百十三個を絞り、八十三個が抑菌性を示し、命中率は約三九パーセントだった。 これらの成果は、既存化合物の探索を速めるだけでなく、まだ合成されていない化学空間に手を広げた点に価値がある。ただ、計算上の候補は多数でも、実用には化学合成、細胞や動物での有効性、毒性、体内動態、製造、規制審査が必要だ。チームは実験で得たデータを再学習に還す体制を整え、重点的に七群の耐性菌を対象とし、非営利団体と開発連携を進める。人工知能が抗菌薬開発の入口を広げる一方で、臨床実用までを左右するのは依然として合成・検証・規制対応の総合力である。

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