AI依存がもたらすスキルの鈍化に警鐘 企業リーダーたちの懸念が増加
AIの導入が進む中、多くのリーダーが「スキルの鈍化」を懸念している。Varonisの上級ソフトウェアエンジニア、ジェイコブ・アダムソン氏は、AIツールが一時的に止まった際、自分自身でコードを書く方法を忘れかけたと語る。「まるで数日間休んで戻ってきたかのように、指がこわばった」と形容。この経験をきっかけに、彼は自身が管理する5人のエンジニアのスキル維持のため、AIを使わずにコードを書く「演習」を導入する予定だ。 AIはデータ分析や要約、コード生成を飛躍的に効率化しているが、その一方で、作業者が技術的スキルを失いかねないという懸念が広がっている。ペンシルベニア大学ウォートン・スクールとGBKコンサルティングが実施した調査では、800人以上の米国大手企業の意思決定者を対象にした結果、75%がAIによる生産性向上を認めつつも、43%が「スキルの低下」を懸念していた。 リーダーたちの間で「AIは便利な道具か、依存の温床か」というジレンマが生じている。大手テクノロジー企業のマネージャー、サンドル・ニャコ氏は「AIに頼りすぎると、人間の思考力が鈍る。成長は止まってしまう」と指摘。問題解決の力や批判的思考は、困難を経験して身につくものだと強調し、「AIの出力に疑問を抱く力がなければ、人間は本質的な判断ができなくなる」と警鐘を鳴らす。 一方、IBM元デザイン責任者フィル・ギルバート氏は、歴史的に見れば「馬の乗り方を知らない人が車で移動している」のと同様、AIの導入は自然な進化だと主張。重要なのは「成果」であり、その過程に何を使おうと構わないという。 しかし、多くのリーダーは、AIに頼りきった世代が、基礎的な知識や問題解決のプロセスを学ばないまま成長する危険性を指摘。アダムソン氏は「AIはまだ完全ではない。正確な出力が保証されていない。基礎スキルを身につけなければ、AIの誤りに気づけない」と語る。 AI時代の成功には、新しいスキル(プロンプト設計など)と、伝統的な基礎力の両方が必要だとする声が高まっている。
