ラテンアメリカのAI活用が進む決済・EC市場:2025年、テック巨頭と新興企業が競う成長と課題
2025年版「ラテンアメリカの決済・EC市場におけるAI:成長、イノベーション、構造的課題」レポートが、ResearchAndMarkets.comから発表された。同レポートは、AI(特に生成AI)がラテンアメリカの金融サービスとオンライン小売業界をどのように変革しているかを、データに基づいて分析している。主な焦点は、ブラジル、メキシコ、コロンビアといったフィンテックの中心地でのAI導入の加速と、地域全体における技術的・人的・制度的課題の不均衡である。 AIの導入は、2017年から2023年にかけてフィンテック業界が300%以上成長した背景で進展している。特にブラジルとメキシコでは生成AIの活用が広がっており、企業の多くが自動化や効率化の実現を期待している。一方で、40%以上の企業が人材不足と投資対効果の不明確さを主な障壁として挙げており、中小企業や周辺国ではAIのスケーラビリティが著しく制限されている。 人材不足は深刻で、約60%の企業がAI人材の育成を最優先課題としている。また、インフラや資金面の格差も、主要都市以外での導入を妨げている。一方で、AIの活用はすでにビジネスプロセスの多くの領域に浸透しており、特に決済やカスタマーサポート、マーケティング分野での導入が進んでいる。 規制面では、ブラジル、チリ、コロンビアがリスクに基づくAIフレームワークを導入し、国際基準に準拠した動きを見せている。しかし、執行能力の不足や地域間の整合性の欠如により、統合的なガバナンスの構築はまだ課題である。多くの市民が透明性と責任ある運用を求める一方で、実際の制度運用には課題が残っている。 主要企業として、OpenAI、Google、Anthropic、Galileo、JPMorgan、Pix(ブラジルのリアルタイム決済システム)、Latitud(ラテンアメリカのスタートアップ支援機関)がAI戦略に注力している。特にLatitudは、AIを核とするスタートアップの育成に力を入れており、2022~2024年中にAI中心・AI活用企業の比率が上昇している。 レポートは、AIが企業のコスト削減や収益増加に貢献すると期待されている一方で、過度な期待や「AIブーム」への警戒も指摘している。企業の多くがAIの実効性を認識しつつも、実装には慎重さが求められている。今後の成長には、人材育成、インフラ整備、統一された規制環境の構築が不可欠である。
