2050年の学校革命:AIが変える教育のあり方と、人間ならではの価値
2050年には教育のあり方が大きく変化すると、ハーバード大学教育大学院の心理学者・社会学者であるハワード・ガーデナー氏と、ハーバード法科大学院の非常勤教授でありAIツール「Dragonfly Thinking」の創業CEOであるアンティア・ロバーツ氏が予測している。同氏らは11月20日、ハーバード教育大学院で開かれた「AIが加わった世界での思考」をテーマにしたフォーラムで、AIが教育に与える影響について議論した。 ガーデナー氏は、AIの進化が過去1000年間で最も大きな教育の変化になるとし、「全員が同じことを学び、同じ方法で評価される」という現在の教育形態は「まったく時代遅れ」と指摘。2050年には、子どもたちが読解・書字・算数・基本的なプログラミングを数年間学んだ後は、教師が「コーチ」として、思考を刺激し、興味のある分野へ導く役割を果たすと予想。10~15年間の学校教育はもはや意味がないと述べた。 ロバーツ氏は、次世代の教育は「AIの指揮者」になることだと強調。知識の生産者はもはや一人の専門家ではなく、複数のAIを統合・調整する「ディレクター」になるべきだと説明。「AIを演者、アスリート、執筆者として操る」能力が求められ、そのためには強い意思決定力と関与力が不可欠だと指摘した。 ガーデナー氏は、自身が提唱した「多様な知性論」や「未来のための五つの心」のうち、特に「規律ある心」「統合する心」「創造する心」の3つが、AIに代替される可能性が高いと語った。一方で、「尊重する心」と「倫理的な心」は、人間が持つ本質的な価値であり、AIに任せることはできないと強調した。 両氏は、AIへの依存が思考力の低下を招く懸念にも言及。ロバーツ氏は「認知的負担の軽減」ではなく「認知的拡張」を目指すことが教育者の使命だと述べ、自身もGPT、Claude、Geminiなどと連続的にやり取りしながら研究を進める日々だと明かした。 AI時代の教育は、知識の習得から「人間らしさ」の育成へと転換する。その中心には、AIと人間が協働する新しい学びの形が描かれている。
