英伟达とOpenAIが英国のAIインフラ整備に大規模投資を発表
2025年6月9日、ロンドン・テック・ウィークで開かれたイベントに出席した英伟达(NVIDIA)のジェンセン・ファンCEOは、英国における人工知能(AI)インフラ強化への大規模投資に関する交渉が進行中であることを示唆した。英伟达とOpenAIは、英国国内に新たなデータセンターを建設するための共同投資を検討しており、規模は数十億ドルにのぼるとみられている。この計画には、クラウド基盤企業のNscaleも関与しており、現時点で正式な合意は成立していないものの、来週に予定されるドナルド・トランプ米大統領の英国公式訪問を前に、発表が期待されている。 背景には、各国が自国のAI基盤を「主権的(sovereign)」に強化しようとする動きがある。特に英国は、米国や中国に依存しない独立したAI技術生態系の構築を目指しており、英伟达やOpenAIといったAI分野のリーダー企業の進出を積極的に誘致している。英伟达のファンCEOは今年初め、英国を「投資に最適な環境(Goldilocks condition)」と評価し、同社の多兆ドル規模の半導体事業を英国に拡大する意向を示していた。今回の提携は、こうした戦略的意図の具体化と位置づけられる。 データセンターの建設は、OpenAIが次世代AIモデルの開発と運用に必要な膨大な計算能力を確保する上で不可欠である。英伟达の高性能GPUは、AIトレーニングの基盤として世界をリードしており、同社の技術が新施設の中心的役割を果たすと見られている。一方、Nscaleは英国国内のクラウドインフラ整備に実績を持つ企業で、データセンターの建設・運用を担う可能性が高い。 この動きは、AI分野におけるグローバルな競争が「インフラの地政学化」へと進んでいることを示している。各国がAIの根幹を支えるハードウェアとデータ処理基盤を自国に集める動きが加速しており、英国もその一翼を担う存在として注目されている。政府は現時点ではコメントを控えているが、英伟达とOpenAIの協力は、英国の科学技術政策の成果として評価される可能性が高い。 専門家は、こうした投資が英国のAI人材の集積や起業環境の活性化につながると指摘。同時に、米国企業の影響力が強まる中で、欧州全体の技術主権の課題にも触れる。今後、この提携がAIの発展とグローバル競争の再編にどのような影響を及ぼすか、注目が集まっている。
