Grant Thornton、AI 利用をパートナー報酬と連動
コンサルティングおよび会計事務所の大手、グラントソートン(年間収益 85 億ドル)は、パートナーの年次ボーナスを人工知能(AI)の活用度合いに直接結びつける画期的な方針を打ち出しました。この戦略は、2025 年 4 月に PWC から同社へ移籍したトム・プティヤマダム上級パートナーが主導するもので、同社の顧問部門を世界中で支配的なプレイヤーへと進化させる野心の一環です。 プティヤマダム氏は、同僚の多くが AI に自然に親和性を持つ若手社員とは異なり、新技術の導入に抵抗を示す中堅管理職層(フローズン・ミドル)を突破する必要があると指摘しています。その解決策として、まず経営層であるパートナーの意識改革と行動変容を促す方針を採りました。2025 年 1 月から開始された新たな評価システムでは、パートナーの年次レビュースコアカードに AI 関連の戦略目標が加えられました。パートナーは従来の財務目標や品質維持の義務に加え、提供された AI ツールを顧客へのサービス提供や営業プロセスに明確に適用し、かつその推進役となっているかどうかを証明することが求められるようになりました。AI の活用がゼロである場合、たとえ収益が倍増しても評価に影響が出る可能性があるとし、プティヤマダム氏は「ボートに乗らないなら、別のボートを選ぶべきだ」と厳しい姿勢を示しています。具体的なボーナス比率の詳細については非公開となっていますが、AI 採用に対するインセンティブが明確に設定されていることは事実です。 この動きは業界全体で広がっている傾向を反映しており、KPMG(カーネギー・マーシャル)をはじめとする大手ファームも同様に AI 導入を推奨する報奨金を導入しています。グラントソートンは、20 年近いキャリアを経て移籍したプティヤマダム氏の指揮の下、顧問事業を 6 億 8000 万ドル規模から 15 億ドルの多国籍プラクティスへと急成長させました。同社は、5 億ドルから 100 億ドル規模の収益を持つ企業を対象とするミッドマーケットにおいて、マッキンゼーやアクセンチュアのようなトップティアの地位を確立することを目指しています。 この成長戦略の柱は、技術投資と業務提携です。同社は AI 機能への多額の投資に加え、商用および財務デューデリジェンス能力を強化する買収を推進しています。また、デロイトや KPMG、アレンジャーパートナーズなどの競合他社から、デジタル技術に精通したパートナーを約 40 名規模で獲得し、人材基盤の刷新を加速させています。さらに、グローバルネットワークを連携させ、より積極的な商業モデルを通じて単価の低下を防ぎつつ、サービス提供可能な顧客数を劇的に増やすことを企図しています。プティヤマダム氏は「より優れた罠(モウスートラップ)を手に入れたなら、市場シェアを奪う」と断言しており、AI を駆使した強固な競争優位性の構築が今後の同社の行方を占う鍵となります。
