小型化技術で進む「人造太阳」の実用化、核聚変の商業化が近づく
「人造太阳」の小型化と工程技術の進展により、核聚変の実用化は一段と近づいている。核聚変は、燃料が海水から豊富に得られ、発電過程でほぼゼロカーボンを実現するため、エネルギー分野の「皇冠の宝石」と称される。2025年7月に米国聚变工業協会(FIA)が発表した報告書によると、過去5年間で世界の核聚変企業は53社にまで増加し、累計投資額は97.7億ドルに達。特に2024年には26.4億ドルが追加投資され、5倍の成長を記録した。 現状、核聚変の主流技術は「磁束束縛型」(トカマクや仿星器)と「レーザー慣性束縛型」。従来は装置の大型化が不可避だったが、近年の技術革新により、小型化と経済性の両立が可能になりつつある。特に高温超伝導磁石の応用が鍵を握っている。米国CFS(Commonwealth Fusion Systems)は、麻省工科大学(MIT)の技術を基に、直径8メートルの小型トカマク装置SPARCを開発。2024年には英伟达や比尔・ゲイツの投資ファンドなどから8.63億ドルを調達し、総調達額は約30億ドルに達した。 同様に、米Helion Energyは「場反位形」を採用し、直接電力回収が可能なプロトタイプを実現。2025年にはマイクロソフトと2028年からの電力供給契約を締結。英国Tokamak Energyも球形トカマクと高温超伝導磁石で1億度の等离子体温度を達成し、政府と民間から合計3.35億ドルを調達。 中国でも「2+N」の産業構造が形成され、安徽・合肥の「聚变新能」と上海の「中国聚变能源」が国家レベルの支援を受け、累計300億元以上を調達。特に星環聚能(Xinghuan Fusion)は、清华大学の技術を基に、独自の「繰り返し磁重連」方式を採用。直径8メートル、高さ10メートルの小型装置で、6秒ごとの短パルス加熱により、1,700万度の等离子体温度を実現。279日という記録的なスピードで「0から1」の装置を完成させ、11か月で基本的なプロトコルを検証。建設コストは同規模の装置の10分の1程度に抑える。 星環聚能の陳銳CEOは「核聚変は科学問題ではなく、工程問題だ」と強調。170人規模のチームのうち、140人がエンジニアで、科学者とエンジニアの連携を徹底。現在は中試装置「星環一号」の建設を進め、2030年代の実用化を目指す。燃料は現段階で最も実用性の高い「重水素-三重水素」を採用。将来的には「水素-ボロン」への移行も視野に。 FIAの予測では、商業用核聚変発電の実現は2031~2035年。中国と米国の技術競争が激化する中、工程的革新による小型化・低コスト化が、実用化の鍵を握っている。
