メタ、Nvidiaとの提携を強化する大規模な新契約を締結
メタは、人工知能(AI)向けチップの世界的リーダーであるNvidiaと「多世代にわたる」とされる包括的な提携を発表した。この提携により、メタはNvidiaの現在および次世代のGPUを数百万台単位で導入し、AIモデルの学習(トレーニング)と実行(インファレンス)に特化したデータセンターの構築を進める。この動きは、メタがNvidiaに依存を深めつつも、自社開発のAIチップやAMDなど他社との協業を進める「多様な戦略」を維持していることを示している。特に、Googleが開発するTPU(Tensor Processing Unit)との関係構築を検討していたとの報道もあり、市場ではメタのAI基盤戦略の方向性に注目が集まっていたが、今回の提携によりTPU開発の優先度が一時的に低下する可能性があると、モアインサイト・アンドストラテジーのパトリック・ムーハード分析師は指摘する。ただし、大手テック企業は複数のサプライヤーを並行してテストするのが一般的であり、完全な一社依存とは限らない。 この提携の特徴は、GPUだけでなく、CPU(中央演算処理装置)やネットワーク機器、さらには機密計算技術までNvidiaから一括調達する点にある。CPUは従来、IntelとAMDが主導する分野で、一般計算処理に使用されるが、AIのインファレンス用途では、GPUよりもコストと電力効率が優れるため、重要性が高まっている。Nvidiaは、次世代の「Vera CPU」を自社製品として明確にアピールしており、AIワークロードが「学習から実行」へとシフトする中で、CPUの役割を強化しようとしている。Enderleグループのロブ・エンダーレ分析師は、「インファレンスではCPUの方が効率的」と指摘し、メタがNvidiaからGPUとCPUを一括調達することで、システムの統合性と運用の簡素化が図られると説明する。 また、メタはNvidiaのネットワーク機器をデータセンターに導入し、WhatsAppなどのサービスで機密計算技術を活用してAI機能を安全に実行する計画も明らかにした。この包括的な提携により、NvidiaはメタのAI基盤全体に深く関与する形となり、その影響力がさらに拡大する。専門家は、Nvidiaの市場優位性が揺るがない一方で、GoogleやAMD、Broadcomらの競争も激化しており、短期的にはNvidiaの競合が市場シェアを完全に失うことは考えにくいと評価している。しかし、メタが「一つの供給元に集約する」戦略を採用する傾向は、企業のIT部門にとって「問題解決の責任が明確になる」という利点があり、今後の業界標準の形成に影響を与える可能性がある。
