FeastとRayでスケーラブルな特徴量エンジニアリングパイプラインを構築する実践ガイド
顧客の購買可能性を予測する機械学習モデルを構築する際、特徴量エンジニアリングにおける課題は大きく2つに分けられる:適切な特徴量管理の欠如と、処理遅延の高さ。この記事では、特徴量ストア「Feast」と分散コンピューティングフレームワーク「Ray」を活用して、生産環境向けの特徴量パイプラインをスケーラブルに構築する方法を解説する。 例として、英国のオンライン小売業者のUCI Online Retailデータセット(2010年12月~2011年12月)を用い、90日間の履歴データからリセンシー、頻度、金額(RFM)や行動特徴を抽出し、30日後の購入有無を予測するモデルを構築。各30日ごとのカットオフ日に対し、90日分の履歴データを用いたローリングウィンドウ方式で特徴量を生成。 Feastは、機械学習用の特徴量を一元管理するオープンソースの特徴量ストア。トレーニングと推論の両方で使用可能な「オンライン」「オフライン」の両方の特徴量をサポート。本ケースでは、オフライン特徴量の登録と管理に活用。特徴量の定義はEntity(エンティティ)、Feature(特徴量)、Feature View(特徴量ビュー)という構造で管理され、イベントタイムスタンプを含めることで、時系列的に正確なデータを確保。 Rayは、分散処理を可能にするオープンソースフレームワーク。本ケースでは、9つのカットオフ日ごとに独立して実行される特徴量計算を、Ray Coreで並列化。@ray.remoteデコレータで関数をリモートタスクとして登録し、複数コアやクラスタで同時に処理することで、処理時間を大幅に短縮。 実装では、PostgreSQLを特徴量レジストリとして利用し、Dockerで起動。Feastの定義と設定をYAMLファイルで管理し、feast applyでレジストリに反映。特徴量の取得は、entity_df(customer_idとevent_timestampを含む)と特徴量ビューを結合する点時正確なジョインで実現。Ray Offline Storeが大規模データの取得と結合を高速化。 結果として、Feastによる一元管理とRayによる並列処理により、特徴量の再利用性、信頼性、処理速度が飛躍的に向上。開発チームは、安定したMLパイプラインの構築が可能になり、生産環境でのスケーラビリティを確保できる。このアプローチは、大規模な機械学習プロジェクトにおける特徴量エンジニアリングのベストプラクティスとして実用化可能。
