AIが世界のHIV対策を強化
南アフリカのクワズールー=ナタール州で、ハーバード大、ウィツ大、世界保健機関などが進む多年度計画の一環として、ヒト免疫不全ウイルス対策を支える人工知能の現場試験が始まった。計画はウィツ大のアラスター・ファン・ヘールデンが主導し、中心は無料の「コーチ・ムピロ」で、ワッツアップ経由で感染検査や治療に関する情報と支援を提供する。計画は、検査や通院に消極的な男性や若年層の取り込みを目指す。南アフリカでは約800万人が感染者とされる。 試験では、利用者が友人や家族を検査サービスに紹介した際に与える経済的支援を、誰に優先的に届けるかが検証される。アプリには15万人超が登録するが、男性は約15%にとどまる。ハーバード大のミリンド・タンベ教授が率いるチームは、過去2か月分の約1万6000件のデータから、男性や若年層に紹介しそうな既存ユーザーを見極める機械学習と最適化手法を開発した。歴史的データの評価では、この優先方法が最も多くの紹介を生み出したと見積もられた。複雑なシミュレーションモデルは現場で解釈しにくいため、透明性と公平性を保つ単純な枠組みに作り直した。 試験は、無作為に支援対象を選ぶ群と、人工知能の優先リストで対象を絞る群を比較する。研究チームは、医療機関や医療従事者を置き換えるものではなく、友人関係に基づく紹介を補う枠組みだと説明する。成果が確認されれば、この仕組みは「コーチ・ムピロ」など他の保健サービスにも応用される可能性がある。タンベ教授は20年超にわたり人工知能の社会活用を進め、ヒト免疫不全ウイルス対策は2013年以降に本格化した。