AIが鳥の個体を鳴き声で識別
ケンタッキー大学とピッツバーグ大学の研究チームは、個体識別を可能にする人工知能(AI)音声解析ソフトの開発に着手した。本プロジェクトは、生息数減少が懸念されるセロリアンワーブラーを標的とし、従来の脚環装着による個体追跡の課題を解消する技術革新を目指す。 従来、野生鳥獣の個体識別は脚環装着と再捕獲に依存しており、樹冠上部で活動するセロリアンワーブラーなどの調査には多大な労力と個体へのストレスを伴っていた。これに対し、ケンタッキー大学のダーリン・マクニール准教授とピッツバーグ大学のローレン・クロニスター研究員らが主導するAIシステムは、個体の鳴き声に含まれる微細なピッチ、タイミング、パターンの差異を機械学習により認識する。人間の声紋認識と同様の原理に基づき、捕獲や脚環装着なしで個体を特定可能となる。 この技術が実用化されれば、個体の生存率や移動パターン、生息地への帰還性の高精度な追跡が実現し、保護戦略のデータ駆動型最適化が加速する。現在チームは概念実証段階にあり、パラボラマイクなどの専門機材を用いてデータ収集とモデル精度の向上を図っている。スマートフォンのアプリ化は今後の検討課題だが、現段階ではフィールド研究者向けの専門ツールとしての展開が想定される。 チームはセロリアンワーブラーでの検証を起点とし、同様に個体追跡が困難な他の希少種へのAI音声識別手法の適用拡大も視野に入れている。捕獲侵襲性の排除とデータ収集効率の飛躍的向上を見据え、この技術は鳥類保全生態学研究のパラダイムシフトをもたらす可能性がある。
