パリで開催されたミストラルサミットで明確な AI 展開を表明
フランスの人工知能スタートアップ、ミストラル AI の初代サミットがパリで開催され、欧州の AI 自主独立への意志が強く示されました。わずか 3 年で設立された同社がこのイベントで約 2000 人の来場者を動員し、SAP や BNP パリバなどの欧州大手企業執行役員、政府関係者、エンジニアが一堂に会しました。これは単なるスタートアップの集まりではなく、欧州が米国に依存しない独自の AI エコシステムを構築しようとするキャンペーンのようだとの印象を抱かせる規模でした。CEO のアルチュール・マンシュ氏ら創設者は、AI は実際のビジネス課題に適用されなければ価値を生まないとし、フランス・パリ近郊に新たなデータセンターを建設するなどインフラ拡充を明言しました。また、顧客が独自のデータでカスタマイズ可能なオープンソースモデルへのコミットを強調しました。マンシュ氏は先月、欧州は AI インフラを構築するための残り 2 年が重要であり、米国に依存し続けることは従属状態を招くとの警告も述べています。 ミストラル AI は約 136 億ドルの評価額を持ち欧州最大の AI 企業となりましたが、OpenAI やアンソロピックといった米国の巨人に比べると依然として規模は小さいです。特に米国の AI 企業は数千億ドル規模の資金調達を行っており、対照的な状況です。しかし、データ主権への懸念から欧州企業は米国クラウドへの依存を避けようとする動きが強まっています。アクセンチャーの幹部はデータがどこに保存され、どう扱われるかが重要であるとし、CMA CGM の会長は地政学的な不確実性もあり、フランスの AI パートナーを持つことは有益であると指摘しました。BNP パリバの AI 責任者は、オープンソースモデルにより自社のインフラ上で AI を運用できコスト管理が容易になると述べています。 欧州は米国に比べて AI インフラや投資面で後れを取っていますが、政府と民間企業との連携が緊密である点は強みとされています。米国が超資本主義的であるのに対し、欧州では行政と民間が歩調を合わせて進んでいます。この遅れこそが、先行した米国の失敗を教訓として活かす機会になるという見方もあります。一方で、一部の参加者は具体的な技術詳細が不十分でマーケティング色が強いとの不満も口にしていました。しかし、このサミットは欧州が技術の次波を自らの力で構築・制御・収益化できるという信念を象徴する機会となり、欧州がようやく AI 競争に本格的に目を向けて追いつこうとしている状況を浮き彫りにしました。
