WD、AI時代に向けた次世代ストレージ技術を発表 100TB超HDDとパワーオプティマイズド設計でデータ経済を支える
ウェスタンデジタル(WD)は2026年のイノベーションデーで、人工知能(AI)時代に向けたストレージ技術の革新を発表した。同社は、AIによる膨大なデータ生成に対応するため、大容量、高性能、省電力、そして使いやすさを兼ね備えた新世代ストレージソリューションの開発を進めており、AIデータ経済の基盤を支える戦略的パートナーとしての地位を強化している。 中心的な発表として、40TBのUltraSMR ePMRハードディスク(HDD)が2つのハイパースケール企業と共同で検証中で、2026年後半の量産開始が予定されている。また、HAMR技術を活用したHDDは2027年に量産化、2029年までに100TBにまで拡張する計画。ePMRとHAMRは共通のアーキテクチャを採用しており、生産効率や信頼性を高めつつ、顧客が技術移行の負担なく容量をスムーズに拡張できる点が特徴だ。 性能面では、HDDの順方向I/Oを4倍に向上させる「ハイブリッド高帯域ドライブ技術」と「デュアルピボット技術」を導入。これにより、100TBのHDDでも従来のI/O性能を維持しつつ、フラッシュメモリに頼らずに高負荷のAIワークロードに対応可能となる。2028年にはデュアルピボット技術搭載HDDが実用化予定。 さらに、AIの「コールドデータ」(頻繁にアクセスされないが即時アクセスが必要なデータ)に対応するため、電力消費を大幅に削減した「パワーオプティマイズドHDD」を2027年に顧客検証開始。従来の3.5インチフォームファクタを維持しながら、低消費電力と高容量を実現し、温データと冷データの間のコストギャップを縮める。 また、中規模企業向けに、2027年にオープンAPIを備えた知能型ソフトウェア層を導入。これにより、200PB以上の規模でもハイパースケール企業と同等のストレージ効率と経済性を実現可能に。開発から本番までの期間短縮と、導入リスクの低減が期待される。 これらの取り組みは、同社の戦略的変革――長期契約ベースの顧客パートナーシップ、経営体制刷新、業績改善(2025年には純利益が2倍以上)――を背景に、ナスダック100に新規組み入れられるなど、実績を示している。2026年にはブランドも刷新され、データセンターを象徴するデザインに変更された。 同社のアイビング・タンCEOは「AI時代のストレージは、容量、信頼性、性能、経済性を両立させることが不可欠。WDは顧客のニーズに真摯に向き合い、革新を進めている」と強調。業界専門家も、顧客が実際に採用している点から、WDの「顧客中心のアプローチ」が市場の信頼を得ていると評価している。 今後、AIに不可欠なストレージインフラの供給を、技術革新と経営の安定性で支えることが、WDの成長の鍵となる。
