機械学習でスピン트로ニクス材料探索のフェルミ面解析が高速化
東京理科大学などの研究チームは、機械学習を用いて次世代エレクトロニクス材料の開発を加速する手法を開発しました。電子のスピントロニクス材料探索では、物質の電子構造を示すフェルミ面の形状が重要ですが、実験データはノイズが多く、人手での分析には時間と専門知識を要します。そこで、研究チームはコバルトマンガンガリウムゲルマニウム合金などのヒュスラー合金を対象に、主成分分析(PCA)と呼ばれる機械学習技術を適用しました。この手法は複雑なフェルミ面の画像から重要なパターンを抽出し、組成の違いに伴う系統的な変化を特定します。シミュレーションデータに基づき生成されたフェルミ面の画像を分析した結果、ガリウム濃度が約 0.94 から 0.95 の領域で、フェルミ面のトポロジー変化や電子スピン偏極の急激な変動を伴うノードラインの出現を検出することに成功しました。特に注目すべきは、画像に意図的なノイズやぼかしを加えても、この手法がフェルミ面の特性変化を正確に識別し続ける堅牢性です。これは実際の ARPES 実験データの分析においても有効であることを意味します。同手法は、物質のスクリーニングを効率化し、スピン偏極やトポロジカル物質など、多様な機能性材料の候補を迅速に見つける道を開きました。小槻雅人教授は、この AI 技術がスピントロニクスだけでなく、トポロジカル物質や超伝導体など、あらゆる材料の解析に応用できると展望を述べています。研究結果は学術誌『Scientific Reports』に掲載されました。
