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AI搭載アシスタントがバークレーのX線加速器を自律運用へ

カリフォルニア州バークレーの国立研究所・ローレンスバークレー国立研究所の先進光科学施設(ALS)では、AIが粒子加速器の運用を支える新たな仕組みとして注目されている。この施設では、大規模言語モデル(LLM)を活用した「加速器アシスタント」が導入され、X線実験の安定運用を支援している。このAIシステムは、NVIDIA H100 GPUとCUDAを活用し、GeminiやClaude、ChatGPTなど複数のモデルと連携。Pythonコードの生成や問題解決を、人間が監視する形で実行している。 ALSは、電子を光速に近い速度で200ヤードの円形経路を走らせる大型加速器で、毎年1700件以上の科学実験が行われる。40本のビームラインを通じて、材料科学、生物学、化学、環境科学など幅広い分野の研究が行われている。しかし、システムの停止は数分から数日に及ぶことがあり、複数の実験が同時に中断するリスクがある。制御システムには23万以上のプロセス変数が存在し、トラブル時の対応は極めて困難だった。 研究責任者であるトーマス・ヘルレル氏は、「この装置は稼働中が基本。停止すると40本のビームラインが待機状態になる」と強調。これまでの対応は、スタッフがデータを収集し、専門家を呼び集めるという時間のかかるプロセスだった。しかし、新システムにより、AIが多段階の物理実験を自動で準備・実行可能になり、設定時間と作業負荷が100倍以上削減された。 このAIは、オペレーターがコマンドラインやOpen WebUIから自然言語で指示を出すと、過去の実行履歴やデータベース、EPICS制御システムと連携して、正確なPythonスクリプトを生成。個人ごとに記憶を保持する「Osprey」フレームワークにより、複数のタスクを分けて管理可能。また、Ollamaによるローカル推論と、CBorgゲートウェイを介した外部モデルのハイブリッドアーキテクチャで、セキュリティと高速性を両立。 今後は、ALSの運用プロセスをWiki化し、AIがより自律的に動作できるようにする計画。人間が最終判断を行う「人間がループ」の仕組みを維持しながら、研究の効率化を進める。この技術は、米国エネルギー省の「Genesys」プロジェクトを通じて全国の加速器施設に拡大。また、フランスのITER核融合炉やチリの超大型望遠鏡(ELT)との連携も進行中。 ALSの研究は、COVID-19の治療薬開発、CO₂回収材料の開発、小惑星Bennuの分析など、人類の健康・環境・宇宙理解に貢献。2025年のノーベル化学賞受賞にもつながったMOFs材料研究もALSで行われた。AIアシスタントは、科学の前進を支える「知的インフラ」としての役割を果たしつつある。

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