アルバニア、AI「ディエラ」を導入し公的調達の腐敗撲滅へ
アルバニアが、かつて想像もされなかった改革を実行している。同国は、公共調達、許可、契約手続きを統括する仮想の「大臣」を任命した。その名は「ディエラ(Diella)」。エディ・ラマ首相は、ディエラが人為的な圧力、利害関係、脅しに左右されず、あらゆる公的契約を「冷たいデータ」に基づいて公正に決定すると強調している。この取り組みは、1991年のスターリン主義体制崩壊以降、長年にわたりパトロン主義と腐敗に悩まされてきた同国にとって、画期的な一歩だ。欧州連合(EU)加盟を加速させるためには、民主主義の質を高めることが不可欠であり、特に公的資金の使途に関する透明性の向上が鍵となる。 ディエラは今年初め、デジタル政府プラットフォーム「e-アルバニア」上で導入されたAIアシスタントとして始動。今後、同国が掲げる「100%腐敗のない調達」の実現を目指す。その仕組みは、AIが契約手続きの各段階で、過去のデータや基準に照らして自動的に評価・判断を行うこと。人為的なバイアスや不正を排除する可能性を秘めている。 ただし、その実現には課題も残る。AIの判断にどのような人間の監視体制が設けられるのか、公開された監査プロセスはどのようなものか、そして不正が発覚した際の責任追及はどのように行われるか——これらが今後の焦点となる。ラマ首相は10年以上にわたり政権を担い、4度目の再選を目指す中で、デジタル化を核とする改革を推進している。その一方で、その政策は「野心的かつ議論を呼ぶ」ものとして、国内でも賛否が分かれている。 ディエラの導入は、AIを公共政策に活用するという国際的な試みの先駆けとも言える。成功すれば、腐敗の根絶と制度の信頼性向上に貢献するが、技術の限界と人間の監視の重要性を常に意識する必要がある。
