AIが原子単位で機能材料を自動構築
米国エネルギー省オークリッジ国立研究所(ORNL)の研究者らは、人工知能を用いて原子レベルで材料を構築する自動化システムを開発した。同成果は学術誌ACS Nanoに掲載され、人間の手を介さず分子を配置する原子スケールファブリケーションの新パラダイムを示した。 研究チームは、顕微鏡探針で銅表面の単一分子を操作するプラットフォームに、YOLOコンピュータビジョンモデルと強化学習アルゴリズムを統合した。ビジョンモデルが分子位置をリアルタイムで検知し、強化学習が操作電流や電圧を最適化して探針を破損させずに正確な位置へ分子を誘導する。この連携により、25時間以上継続して無人で材料構築が実現した。 実証実験では、37個の分子からなる人工グラフェン格子を完全なハニカム構造で構築。本来のグラフェンに特有のディラック点を電子特性として確認し、設計どおりの電子挙動を持つことが実証された。さらに分子を並べて研究所名のORNLを構成するデモンストレーションも行われた。 本技術は、所望の電子特性を定義すればAIが最適な原子配置を算出し自動的に構築する逆設計への第一歩となる。高速エレクトロニクスや量子メモリ、トポロジカル量子コンピュータの基盤となる量子ビットの実現に向けた加速器として期待される。 現時点では探針の安定化に人間の介入が必要な半自動化段階であり、構築速度の課題もある。今後は操作効率の向上と完全自律化への進展が焦点となるが、物質そのものをプログラム可能な資源として制御する技術基盤は確立された。
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