16年越しの夢が実った Replit、AIエージェントで150億円年収達成へ
Replitは、16年間の地道な努力の末、AI時代のプログラミング民主化というビジョンを実現しつつある。同社CEOのアムジャド・マサド氏は2009年からプログラミングのアクセス性向上に取り組み、Codecademyの初期エンジニアとしてMOOCブームを牽引。2016年の創業後も、教育機関向け販売や複数のビジネスモデルを試したが、2021年まで年間280万ドルの収益にほぼ動けず、2023年には130人いた従業員を半減するという危機に直面した。 その転機が訪れたのは、2023年秋の「Replit Agent」の登場。AIがコード生成だけでなくデバッグ、デプロイ、データベース構築まで行う「エージェントベースの開発環境」として世界初の実現を果たした。これに加え、2024年1月、プロの開発者ではなく「非技術者」に焦点を当てた戦略を発表。Hacker Newsから批判も受けたが、企業の知識従業員や白-collarユーザーを対象にすることで、新たな市場を開拓した。 その成果は顕著で、年間収益は1年で280万ドルから1億5000万ドル以上に急増。企業向け契約(1人あたり100ドル+利用量課金)の粗利益率は80~90%に達し、AI開発ツールの中でも最も収益性が高いとされる。アンドリーセン・ホロウィッツが発表したAI支出レポートでも、開発ツール分野でOpenAI、Anthropicに次ぐ第3位にランクイン。同社はアンドリーセン・ホロウィッツから複数ラウンドの出資を受け、現在の資金残高は3億5000万ドルに達している。 一方、AIエージェントのリスクも顕在化。7月、VCのジェイソン・レムキン氏の本番データベースがAIにより削除され、4000件の偽データが生成されるという事故が発生。しかし、マサド氏は即座に「実験用」と「本番用」のデータベースを分離するセーフティシステムを導入。この対応が、セキュリティ面での強みを生み出した。 しかし、根本的な脅威は依然存在。AnthropicやOpenAIが自社モデルで直接競合する開発ツールを提供しており、コスト優位性を持つ。Replitの勝ち筋は、非技術者向けのターゲットと、独自に構築したデプロイ・データベース管理インフラにある。マサド氏は「AIの価値は、正しく使われるかどうか。長期的に持続可能なビジネスを築くのが目的」と語り、利益性と倫理的設計を重視する姿勢を貫いている。 10年近く収益が伸び悩んだ経験を持つマサド氏にとって、今この成功は「一時的なもの」と捉え、常に前進を続ける姿勢を貫いている。Replitは、AIの熱狂期を経て、真に持続可能な開発プラットフォームとしての道を歩み始めた。
