2025年米経済は成長するも雇用は低迷、AIの影響で格差が拡大か
2025年の米国経済は、GDP成長率2.2%と堅調な伸びを示したが、雇用創出はほぼ停滞した。米国労働省の最新データによると、同年に新規雇用はわずか18万1000件にとどまり、2003年(2001年リセッション後の回復期)以来の低水準。低失業率が続く一方で、求人件数と採用数の減少により、特に新卒やキャリアチェンジ希望者にとって就職環境は厳しさを増している。この「生産と雇用の乖離」は、経済の「K字型回復」とも呼ばれる現象を強調しており、富裕層の所得・消費は拡大する一方、中低所得層の実質賃金は横ばいまたは低下傾向にある。 経済学者たちは、この現象が過去の景気回復期とは異なり、長期にわたる経済成長の真っ只中に発生している点に懸念を示している。EYの首席エコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は、「経済活動は堅調だが、雇用はほぼゼロ成長。これは、成長の恩恵が一部に集中している証拠」と指摘。AIの導入、貿易政策、人口構造の変化といった構造的要因が、雇用の質と量に影響を及ぼしており、この分断は2026年以降も続く可能性があると予測。 特に問題視されているのは、物価上昇の影響が低所得層に偏っている点。米ニューヨーク連銀の報告によると、2023年以降、高所得世帯の名目消費は伸び続けているが、低所得世帯の実質消費は減少傾向にある。低所得層の賃金成長は2022年をピークに大幅に鈍化し、特に時給制労働者では収入の不安定さが顕著。さらに、サブプライム自動車ローンなどにおける信用リスクも高まっている。 AIの進展はこの格差をさらに広げる可能性がある。AIによる生産性向上はGDPに寄与しているが、その恩恵が雇用に反映されていない。Indeedの経済研究責任者、ローラ・ウルリヒ氏は、「AIが人間の仕事を代替すれば、経済成長は続くが雇用は伸びない可能性がある」と警鐘を鳴らす。一方、連邦準備制度理事会(FRB)の1月会合議事録では、労働市場の見通しは依然として不透明とされ、政策当局も慎重な姿勢を維持している。 結局のところ、米国経済は「成長しているが、誰もがその恩恵を受けられない」状況にあり、2026年も雇用回復の兆しは限定的と見られている。
